「はやぶさ2」と相乗りする小型副ペイロードに注目!

2014年11月26日(水)

  • プロジェクト
  • 人工衛星・探査機
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H-IIAロケットでJAXAの衛星(主衛星)を打ち上げる際、ロケットに余剰能力がある場合に限り、そのロケットに小型の人工衛星を相乗りさせることができます。
今回、「はやぶさ2」と相乗りする3基の「小型副ペイロード」をご紹介します。

※通常、この小型の人工衛星を「小型副衛星」と呼びJAXAデジタルアーカイブスのカテゴリ上も「小型副衛星」となっていますが、今回は地球を周回する“衛星”ではないため、「小型副ペイロード」と呼ばれています。

「PROCYON」

© 東京大学 中須賀・船瀬研究室

© JAXA

開発機関 東京大学/JAXA
共同実施機関 東京理科大学、北海道大学、明星大学、立教大学など
衛星名称 PROCYON(プロキオン)
ミッション概要
ノミナルミッション
  • 50㎏級超小型深宇宙探査機バス技術の実証
    深宇宙用超小型通信系の実証や超小型推進系による姿勢軌道制御の実証など)
アドバンストなミッション(加点対象ミッション)
  • GaN半導体を用いた高効率X帯電力増幅器
  • VLBIによる高精度軌道決定
  • 小惑星に対する超接近フライバイ撮像技術等の深宇宙探査技術の実証と、理学ミッションとして
  • 深宇宙空間からのジオコロナ観測
外形寸法
質量
外形寸法:H630×W550×D550mm
質量:約65㎏


小さな躯体で超小型の深宇宙探査に挑戦。はやぶさ2とは別の小天体に行きフライバイによる観測を実施します。PROCYON(プロキオン)という名前は、こいぬ座1等星プロキオン。同じ冬の星座の星・おおいぬ座のシリウスと対比して「大きなものに先駆けて」という意味を込めたそうです。

「しんえん2」

深宇宙通信実験機「しんえん2」の外観

© JAXA

開発機関 九州工業大学
共同実施機関 鹿児島大学
衛星名称 しんえん2
ミッション概要
  • 熱可塑性CFRPによる宇宙機構造の開発とその宇宙技術実証
    熱溶着可能な炭素繊維強化熱可塑樹脂(熱可塑性CFRP)を宇宙で実利用できることを実証する。
  • 遠距離における地球―深宇宙機間の相互通信
    430MHz送信機と145MHz受信機を搭載し、アマチュア無線帯を用いて、地球から月軌道周辺との通信、さらにはそれ以遠との通信技術を獲得する。
  • 宇宙放射線の計測
    CMOS型の放射線センサを用いて地球から月軌道周辺、さらにはそれ以遠の宇宙放射線種類を特定するための測定を行う。
外形寸法
質量
外形寸法:H475×W495×D495㎜
質量:約17.9㎏


月周回軌道、さらに深く遠くの宇宙との通信技術確立を目指しています。二次加工が簡単でで溶着ができるなCFRTP(炭素繊維強化プラスチックの一種。軽量!)を宇宙機の外郭構造に使用し、質量およそ 15kg とこれまでの宇宙機に比べて格段に軽量化されています。(※参考:ARTSAT-DESPATCHは約32kg, PROKYONは約65kg)

「ARTSAT2-DESPATCH」

© ARTSAT

© JAXA

開発機関 多摩美術大学
共同実施機関 東京大学
衛星名称 ARTSAT2-DESPATCH
ミッション概要
  • ソーシャルネットワークを用いたテレメトリ共同受信(協調ダイバシティ通信実験)
  • 宇宙生成詩の創作
    (各種センサーデータから搭載プログラムが生成するテレメトリの送信)
  • 深宇宙彫刻の実施
    (3Dプリンタ造形物の宇宙機搭載実証)
外形寸法
質量
外形寸法:H496×W471×D457mm
質量:32㎏


“衛星・宇宙機と言えば科学技術の世界”と考える方も多いでしょうが、現在、「芸術衛星」プロジェクトが進行中です。工学(衛星をつくる側)と美術(衛星を使う側)がそれぞれの得意分野を生かしながら、未知の世界にチャレンジするという有機的な異分野コラボレーションの試みが、世界ではじめて実施されます。

次回は、X線天文衛星「ASTRO-H」に相乗りする超小型衛星4基(うち1基は有償)を打ち上げる予定です。
応募の詳細はこちらをご覧ください。