シグナス補給船実証機(Orb-D1)国際宇宙ステーションに到着

2013年10月1日(火)

  • 海外
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「ハーモニー」(第2結合部)に結合したシグナス補給船(出典:JAXA/NASA)「ハーモニー」(第2結合部)に結合したシグナス補給船(出典:JAXA/NASA)


米オービタル・サイエンシズ社の「シグナス補給船実証機」(Orb-D1)が、2013年9月29日午後9時44分(日本時間)に国際宇宙ステーション(ISS)に結合しました。シグナス補給機はSpace-X社の「ドラゴン」と同じく民間企業によって開発された補給機です。
今回のフライトは安全に国際宇宙ステーションに接近、ドッキングできるかを試すテスト飛行ですが、クルー用の品物、食料、ラップトップ・コンピュータなど補給のための貨物も積まれています。

シグナス補給船実証機は2013年9月18日午後11時58分(日本時間)に米国バージニア州にあるNASAワロップス飛行施設からアンタレスロケットによって打ち上げられました。22日には国際宇宙ステーションに到着する予定でしたが、技術的な問題が発生したため到着が延期されていました。

これで、国際宇宙ステーションへの物資の補給は、アメリカの民間企業の「ドラゴン」と「シグナス」、ロシアの「プログレス」、欧州の「ATV」そして日本の「HTV」の4機体制になったことになります。まさしく宇宙の駅(ステーション)ですね。

「シグナス」ってどんな宇宙船?

シグナス補給船イメージ(提供:Orbital Sciences Corporation)シグナス補給船イメージ(提供:Orbital Sciences Corporation)


シグナスは2tの貨物を国際宇宙ステーションに運ぶことができる無人の宇宙船です。他の補給機と「シグナス」の一番の大きな違いは既存の技術を組み合わせて作られていること。これにより、信頼性が高く安価な宇宙船を作ることが出来ました。たとえば、サービスモジュールと呼ばれる、太陽電池や電源、エンジンなどが乗せられた部分は静止衛星用のものを流用して作られています。また、貨物室はスペースシャトルに搭載されて国際宇宙ステーションへの補給に使われていた「多目的補給モジュール」(MPLM)の技術が使われています。

「シグナス」と日本の宇宙技術の深い関係

この「シグナス」には日本の技術があちこちに使われています。まず、シグナスのメインエンジンは、JAXAの技術を 基本に開発された世界最高性能のヒドラジン・MON-3エンジンが採用されております。また、太陽が当たらない夜の側で機体に電力を供給するリチウムイオン電池も日本製です。

「シグナス」は、国際宇宙ステーションとのドッキングや離脱時を宇宙ステーションのロボットアームを使って行います。そう日本のHTVと同じですね。実は、このときにシグナスと宇宙ステーションの間で通信を行ったり、正確に誘導をしたりするために使われる「近傍通信システム(PROX)」と呼ばれるシステムも日本製。日本のHTVに使われているものと同じです。宇宙ステーション側の装置も日本の「きぼう」モジュールに搭載されているHTVと同じものが使われます。このため「シグナス」のドッキングおよび離脱時には、JAXA側の管制室でも宇宙船の稼働状況をリアルタイムで監視し、運用を支援しています。

まさに、各国が国際宇宙ステーションで培ってきた技術を結集した宇宙船という感じですね。

(画像提供/出典:NASATV、Orbital Sciences Corporation)