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基幹ロケット高度化プロジェクト メンバーコラム:寺島啓太

2016年2月10日(水)

  • プロジェクト
  • ロケット
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衛星を優しく送り出す~低衝撃PAFの開発

寺島啓太(てらしまけいた)
H3プロジェクトチーム/基幹ロケット高度化プロジェクトチーム(併任) 主幹開発員

衛星にとってロケットは、目的地である軌道に行くための乗り物に過ぎないのですが、このロケット打上げ時に最も過酷な加速度荷重や音響、振動、衝撃等の環境を受けてしまいます。このようなロケットにより発生する環境は、単に乗り心地の快適さというレベルではなく、衛星の設計条件に直接影響するものなので、ロケットとしては、できる限り優しい環境にしてあげることを目指しています。

基幹ロケット高度化プロジェクトでは、特に海外のロケットと比較してH-IIAが厳しい条件になっている、衛星分離時の衝撃環境を低減するために、低衝撃型衛星分離部の開発を行いました。私はこの開発を立ち上げるのに先立ち、まずはどのような原理やメカニズムによって、発生する衝撃をどれだけ緩和できるか確信を得るために、1年半ほどの研究から始めました。この研究フェーズの中で、衝撃を低減する原理の妥当性や、それを実現する機構の比較評価、衛星分離部としての性能に与える影響などを十分に検討した上で、高度化プロジェクトの立ち上げとともに、低衝撃型衛星分離部の開発着手につなげることができました。

衛星搭載環境 緩和の仕組み

開発を立ち上げてからは苦難の連続でした。これまで豊富な実績があり信頼性が高い、火薬のエネルギを使った分離方式から、よりソフトに作動する機構を使った方式へと大きな方針転換を行ったわけです。そのため、低衝撃化はもちろんとして、従来と同等の信頼性を保証することが非常に重要でした。開発試験では、メーカ担当者とともに悩み、考えながら何度も何度も試験を行い、性能に影響しうるあらゆる要因を地道に評価していくことにより信頼性の検証を行い、誰が見ても確実に作動する機構を作り上げていきました。
また、発生する衝撃レベルも様々な因子の影響を受けることが試験を通じて明らかになりました。開発の仕上げとして位置付けていた試験で目標衝撃レベルを超過してしまい、設計変更を余儀なくされた苦い経験もありました。

このような開発試験での苦労があったからこそ、最終的には誇るべき低衝撃型の衛星分離部が完成したという自信を持っています。それがいよいよ飛行実証の機会を得ました。今回の飛行実証により得られるデータを十分に評価し、それを踏まえて広くアピールしていくことで、今後より多くの衛星にこの分離部を使ってもらい、ロケットの環境が優しくなったと喜んでもらえれば嬉しいです。

寺島啓太 主幹開発員

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人工衛星にも優しいのはいいですね
飛んでいく部品が少ないからもしかするとデブリの増加の抑制に繋がるのでしょうか?

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