「はやぶさ」が持ち帰った小惑星「イトカワ」の微粒子を見に行こう!

2013年7月16日(火)

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「はやぶさ」の帰還から3年。帰還カプセルに収められていた小惑星「イトカワ」の微粒子を、国立科学博物館、相模原市の協力を得て、初めて一般向けに公開します!
国立科学博物館では7月17日から常設展示が開始され、相模原市立博物館では7月17日から28日の期間限定で展示が行われます。
なお、相模原市立博物館では光学顕微鏡による観察ができます(光学顕微鏡による観察には整理券が必要となります)。

光学顕微鏡で確認された微粒子

「イトカワ」の微粒子って?

キュレーション設備での粒子ピックアップ
作業写真

見学に行く前に、「イトカワ」の微粒子について簡単におさらいしておきましょう。
今から約3年前となる2010年6月13日、小惑星探査機「はやぶさ」から分離されたカプセルが、オーストラリア・ウーメラに着陸しました。
帰還カプセルは相模原キャンパスのキュレーション設備に搬入され、カプセルの検査や分解、サンプルコンテナの開封など、細心の注意のもと作業が進められました。

キュレーション設備とは:
地球外物質の微粒子を地球環境で汚染されることなく取り扱うことができる日本が世界に誇れる唯一無二の設備です。微少量の微細サンプルを、汚さずきれいに処理することに特化しています。

画像:イトカワ由来と確定した岩石質の微粒子



JAXAは、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還カプセルに収められていた、サンプルコンテナ内の多数の微粒子が、イトカワ由来のものであることが判明したという発表を2010年11月16日に行いました。

コンテナから注意深く採取された微粒子は、まずSEM(走査型電子顕微鏡)により岩石質と同定。
さらに詳細な検討により、その成分比率は隕石の特徴と一致し、地球上の岩石とは合わないことが分かりました。またサンプルコンテナ内には、地球上の一般的な岩石(火成岩)の微粒子は存在しませんでした。これらのことから、微粒子はほぼ全てが地球外物質であり、小惑星イトカワ由来であると判断するに至ったのです。
国内外のメディアは世界初の成果であるこのニュースを大きく報道しました。

2011年8月、サンプル初期分析の成果を伝える6編の論文が科学誌 『Science』 に掲載されました。
「イトカワ」の微粒子を分析することで、「最もポピュラーなタイプの隕石は、小惑星起源である」こと、「宇宙風化による層状の構造」など、天体観測や隕石の分析では決して分からなかった小惑星の姿が明らかになりました。 



現在は、国際的に公募研究を募集するなど、さらなる分析を進めています。



以上、世界が注目する「イトカワ」の微粒子についてのご紹介でした。 この機会に、ぜひ「地球外物質」を見に行ってみよう!

画像:「イトカワ」より持ち帰った岩石質の微粒子(150ミクロン)が『Science』 の表紙を飾った