「リアルな宇宙」と「イマジネーションの宇宙」を体感しよう!

2014年8月18日(月)

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「ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて」展を訪ねて

宇宙と芸術…そう聞くと思わず構えてしまう人、いませんか?
鑑賞には難しい知識や哲学が付き物だと思っている人、いませんか?
そういう人にこそ是非この夏訪れていただきたいのが、8月31日(日)まで東京都現代美術館(江東区)で開催中の「ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて」展です。

21世紀最初の10年が過ぎ、私たちの暮らしと宇宙の距離はどんどん近くなっています。この展示ではアーティストが表現する宇宙とリアルな宇宙の姿双方に触れられるように構成されていて、インスタレーション(空間芸術)から人工衛星、宇宙にかかわる文学まで約60点の多彩な展示品が見られます。

先日実際の訪ねた様子を、少しご紹介します。

展示の入り口では旧宇宙開発事業団(NASDA、現JAXA)の初の人工衛星、技術試験衛星I型「きく1号」がお出迎え。直径約80cmの26面体という幾何学的な造形が独特の存在感を放っています。


技術試験衛星I型「きく1号」

技術試験衛星I型「きく1号」


最初の部屋には、宇宙開発や天文学の発展と宇宙をテーマにしたアート作品の歴史を年表形式で一覧できる「宇宙×芸術クロニクル」と題した展示があり、人類が宇宙空間に対してどのように想像力・創造力を高めてきたかが興味深く感じられます。

ふむふむ…、とお勉強モードに入ったと思いきや、次の部屋に一歩足を踏み入れると、急に別世界に放り込まれたような感覚に襲われます。
ここはプラネタリウム・クリエイター、大平貴之さんが開発した「MEGASTAR(メガスター)II」が設置された展示室「夢幻宇宙(サウンドデザイン:有馬純寿)」。
天井と床、壁に小さな無数の星の光がゆったりと流れて行く大空間が広がり…気がつくと皆無心で見入ってしまっています。

大平貴之《夢幻宇宙》 2014年  サウンドデザイン:有馬純寿

【大平貴之《夢幻宇宙》 2014年 サウンドデザイン:有馬純寿】


「夢幻宇宙」は靴を脱いで絨毯に上がったら、座ったり、クッションにもたれかかったり、仰向けに寝そべったり、それぞれ自由な姿勢で鑑賞可能で、自然と星々の中に誘われていきます。
見上げれば星に包まれているかのように感じ、横を見れば地球の回転を感じ、足元をずっと眺めていると星の引力を感じるというような、不思議な空間。
誰もがそこでとても長い時間ゆったりと過ごしています。
想像力を「働かせる」のではなく、自分の中からどんどん何かが引き出されていく、そんな風に思えました。

こんな素敵な導入のお陰か、その後に続く様々な作品を、子どもの頃に戻ったような素直な気持ちで楽しむことができました。

特に月球儀を動かすと月探査機が実際に観測したリアルな月面の画像も自在に移動して、あたかも自分が月面を移動しているかのような視点で月を楽しめる「NHK≪月面旅行-Flying over the moon≫」や、柔らかい布のチューブの中に入るとその弾力によって宇宙空間に浮かんでいるような感覚が味わえる「スペースダンス・イン・ザ・チューブ」には、大人も子どもも関係なく大喜び!!

福原哲郎&東京スペースダンス≪スペースダンス・イン・ザ・チューブ≫2014

【福原哲郎&東京スペースダンス≪スペースダンス・イン・ザ・チューブ≫2014】

弾力性のある布を筒状にして吊るすことで、こんな不思議な感覚が生まれるとは、その発想自体に宇宙的広がりを感じてしまいます。

また一方で、ロケットのフェアリングなど宇宙開発の現場で利用された貴重な機器や、宇宙での芸術活動を検証した記録を目にすることで、作品の創造に際して作者が深く見つめたであろう宇宙の様々な現象にふと想いを馳せてしまったり、ロケット打ち上げに関する数分のニュースでは知ることができなかった実験プロジェクトの奥深さに感銘を受けたりと、知的好奇心を掻き立てる要素も満載。

おまけに谷川俊太郎作の「二十億光年の孤独」という詩が流れる電光掲示板「oblaat」や、最近話題になっているヨシタケシンスケ作の絵本「りんごかもしれない」を彷彿とさせるような「りんごの天体観測」もあり、文学の世界にまで思考は飛躍していきます。
時間の概念はすっかり忘れて宇宙空間を漂うがごとく、夢中になって鑑賞してしまいました。


しかし、この展示は演出が巧みで、会場を出た後もまだお楽しみが続きます。

ホッと一息入れようと館内のCàfê Hai(カフェ・ハイ)に足を運べば、そこが期間限定で「人工衛星カフェ」に大変身しており、JAXA提供の映像や資料を見ながら宇宙にちなんだオリジナルメニューをいただくことができます。

隕石衝突をイメージしたコーラフロート「メテオフロート」とベトナム初の人工衛星VINASATにちなんだバニラアイス「バニサット」。※ミッション[宇宙×芸術]展会期中の限定メニュー

階下にあるミュージアムショップの壁面には、宇宙を平和にするロケットをテーマにして種子島の小学生の皆さんが描いた作品が並び、その発想の豊かさに驚かされます。
そしてそのショップを通った先にある休憩スペースにも、ちょっとした演出が…。

バニラアイス「バニサット」

ここから先はご自身の眼で確かめていただきたいのでここでは書きませんが、ここを見たらまた会場に戻ってもう一度作品を鑑賞したい気持ちに駆られることでしょう!
宇宙を体全体で感じられる「ミッション[宇宙×芸術]―コスモロジーを超えて」、夏の暑さを忘れて心の羽を伸ばせるおススメの企画展です。

このほかにも見逃せない作品がいっぱい!

夢の段階から実現を向けて一歩先へと進み始めたこれからの宇宙開発プロジェクトを紹介!

冷たい生命(書・紫舟)

【チームラボ冷たい生命≫(書・紫舟)2014】
3Dの映像作品。高い天井までフルに使った大画面に、生命が静かに溢れ出していく。



echo-π

【森脇裕之≪echo-π≫2014】
来場者が自由に回転させられる作品。中央が太陽で、回転の速度に応じて水星・金星・地球の三惑星の軌跡が現れる。



地球光&惑星探査車

【≪地球光≫&惑星探査車】
月面着陸した気分で惑星探査車と共に写真撮影できるコーナー。
地球光/プロデュース:籠谷武、美術デザイン:稲村正人、設計:早坂聰史、造形:渡邊昌義、ライティングデザイン:藤原工
惑星探査車/協力:IHIエアロスペース 



憑依する滝、人工衛星の重力

【チームラボ≪憑依する滝、人工衛星の重力≫2014】
陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の実物大模型と共に展示される大迫力のプロジェクションマッピング。滝の水は「だいち2号」をコンピューター上に3Dで再現してシュミレーションしたデータを元に描かれたという。
22日(金)と29日(金)、19:00-21:00(最終入場20:30)の時間帯は、滝の水が特別バージョンの金色に変わるそう!




東京都現代美術館について

東京都現代美術館

木場公園に隣接したこの美術館は、スッキリした造りで見た目から涼やか。
奥に長く続く吹き抜けのエントランスホールは、公園の緑を借景にビビッドカラーのソファーが配されて、お洒落な雰囲気を醸し出しています。
ふらりと立ち寄って涼み、ついでにさり気なく展示を鑑賞…なんて人も多そうな、とても入りやすい美術館です。