第19回 オーロラ

太陽の活動が活発になり、地球に磁気嵐がもたらされると放射線帯のプラズマが増大して人工衛星や地上の電子機器に影響があるなど、地球磁気圏の働きはきれいなオーロラだけでなく、私たちの暮らしにも関わりがあります。

皆さまの過去のご経験と想像力をうまく重ね合わせて素敵な作品を投稿していただければ幸いです。

募集期間:2016年12月5日~2017年1月10日
発表日:2017年2月6日

編集部で熟考の結果、以下の作品を選定しました。力作の数々をどうぞご覧ください。

入選作品

オーロラの さえずり聞こゆ 荒瀬川

高エネルギー粒子の奔流の中、ふと見上げるとそこにはオーロラが…。

カーテンを オーロラにする ネオン街
荘子 隆

「宙」よりも「川柳」要素を高く評価しての選出です。哀しい色やねん…。

オーロラは 宇宙が紡ぐ 万華鏡
石ころ

オーロラは出現を予測するのが難しく、その姿はまさに一期一会。

太陽の ため息輝く 極の空
なつ子☆です!

太陽にとってはため息でも地球にとってはとんでもない力のエネルギーが到来。

オーロラと 妻の顔色 よく変わり
澄海

青くなったと思ったら次の瞬間赤くなり…。まさに予測不能なデンジャラス?

オーロラに 見とれる瞳に 見とれてる
ミニロック

極寒の地で君と一緒に見られた奇跡に乾杯♪

神ってる 太陽からの 贈り物
でこぽん

太陽風あってのオーロラですが、地球の磁気圏がそれに抗っている姿とも言える…。

ソラセン大賞

オーロラの 幕の裏では 磁気嵐
涼虫

幽玄のきらめきを放つオーロラですが、これを引き起こしているのは太陽からやってくる高エネルギー粒子が元となる磁気嵐です。
オーロラを見たら、激しい磁気嵐に果敢に挑む「あらせ」のこともどうぞ応援してくださいね! (編集長 Nobu)

宙川柳コラム

ジオスペースと宇宙天気予報

第19回のお題は「オーロラ」としましたが、このオーロラという現象はジオスペースで起きている現象のひとつで宇宙空間にある電子やイオンが地球の超高層地域に降り込むことによって発光して起きている現象です。

ジオスペースは、私たちの暮らしにかかわるたくさんの人工衛星が運用されている領域です。例えば、気象衛星「ひまわり」や多くの通信衛星は、静止軌道と呼ばれる高度約3万6千kmを周回しており、ジオスペースはすでに人類が利用している身近な宇宙空間だといえます。

ジオスペースは、決して静かな場所ではありません。太陽での爆発現象などに伴う擾乱(じょうらん)によって、激しい太陽風がジオスペースに到来すると、宇宙嵐と呼ばれる宇宙環境の激しい変動が生じます。このとき、ジオスペースにはとても強い電流が流れ、北極や南極では激しいオーロラ活動が発生します。

宇宙嵐のようなジオスペースの激しい変動は、人間の宇宙活動を脅かす危険な存在でもあります。緯度の高い地域では、宇宙嵐のときに流れる強い電流によって電力施設が影響を受け、広範囲に停電が起こることがあります。また、電離圏の状態が乱れることによって、衛星を利用した通信や放送、GPS信号に影響が出ることもあります。さらに、放射線帯のエネルギーが高い粒子は、人工衛星の異常や故障を引き起こしたり、宇宙飛行士の健康に影響を及ぼしたりします。

このような私たちの生活に密接に関わる宇宙空間の現象のことを、「宇宙天気」と呼び、その変化を予測することを天気予報になぞらえて「宇宙天気予報」と呼んでいます。

ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)の観測データは、宇宙天気研究の中でも最重要課題と位置付けられている「放射線帯粒子の変動の理解と予測」にも大いに役立てられていく予定です。