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宇宙実験室 15 - 瓶の中に地球を作る ボトルアクアリウムを作ってみる 第2弾

ボトルアクアリウムの難しさ

宇宙実験室 12 でご紹介した、密閉されたペットボトルでメダカを飼育する実験ですが、その後も瓶のサイズを変えてみたりして続けています。あれから半年。なかなかうまく行きません。その理由を探るべく、水槽の中で何が起こっているのか、考察してみましょう。

ボトルの中では何が起こっている?

メダカが泳いでいるだけのように見えるボトルの中では、上図のようなことが起こり、酸素や有機物が循環しています。(正確にはもっと複雑ですが…)この中に3つの生物がいますが、「微生物」だけは、土まかせなので、どんな微生物が入っているかはわからず、目でも見えません。だけど、魚の排泄物をろ過して水をきれいにし、水草に肥料を与える重要な役割を行っています。この実験は魚を育てているようですが、この目に見えない微生物を健康に保つことがポイントかもしれません。

微生物を健全に保ち、ボトルアクアリウムを長持ちさせるコツ

  • 急な水温の変化をさせない
  • 急な水質の変化をさせない
  • 土をたっぷり用意する

観察のポイント

外から目で見て判断できる観察のポイントはいくつかあります。

目で見て判断できること

  • 魚は元気か?
  • 水草は元気か?
  • 水の透明度は?
  • 藻が発生しているか、いないか?
  • 日当たりはどのくらいか?

目で見えないけど知りたいこと

  • 酸素がどのくらい水に溶けているか?
  • 微生物が元気に活動しているか?
  • 有害物質が水の中に溶けているのか? いるならどのくらいか?

有害物質についは、市販されている検査キットである程度「見る」ことが出来ます。他のことも本格的な実験装置や設備があれば分かったりもします。

国際宇宙ステーション(ISS)でもメダカを飼える?

水棲生物実験装置(Aquatic Habitat: AQH)という実験装置が、2012年7月に宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)でISSに運ばれ、設置されました。この装置はボトルアクアリウムと同じように閉鎖した環境でメダカなどを飼育することができる実験装置です。カッコイイですね。

水棲生物実験装置(Aquatic Habitat: AQH)

この装置をボトルアクアリウムと同じように図にすると、このようになります。

バクテリアを使って水をろ過するところはボトルアクアリウムと同じですが、大きく違うのは自動で給餌するところと、水草の代わりに人工肺があるところです。人工肺って言い方、カッコイイですよね。これは酸素と二酸化炭素を交換するガス交換器のことです。
単に水槽を持っていっても、水が浮いて外に飛び出してしまうので、水を完全に閉じ込められる水槽が必要になります。周囲には様々な機械があるため、水がこぼれると処置が大変です。また、使える水の量も限られているので、少ない水量でも健康に飼育できるようにしてあるそうです。
日本の宇宙機関が総力を挙げて開発してきた、完全閉鎖系システムのすごい装置なのです! また、日本は宇宙でのメダカの飼育に関しては世界一なんです!

今回は主にメダカの骨について研究しています。骨のことが詳しくわかると、宇宙飛行士の健康、ひいては地上でみんなの健康にも役立つでしょう。
今度の研究で、丈夫な骨をもつ魚が宇宙で元気に育つことができるようになれば、もしかして遠い将来は「宇宙で魚を養殖して食べる」なんてこともできるかもね?!

宇宙実験室ノート

このボトルアクアリウムは、別名「ミニ地球」ともいわれます。外から入ってくるのは太陽の光と熱だけ、動物と植物がうまくバランスをとって環境が維持されている様子は、確かに小さな地球という感じです。実は、こうした「ミニ地球」を作る試みは、ペットボトルの中だけの話ではありません。

前回も少し紹介しましたが、国際宇宙ステーションはその一例でしょう。すべてではありませんが、水や空気などは再利用していますし、電力はソーラーパネルで作っていますから、ボトルアクアリウムに少し似ています。国際宇宙ステーションでは、空気は二酸化炭素を取り除いて再び呼吸できるようにして再利用しています。また水は空調などを通じて集められた水を飲料水として再利用したり、宇宙飛行士の尿を処理して飲み水に変える装置などが積み込まれています。国際宇宙ステーションでは、まだ食料を作ることはできませんが、2015年には宇宙でレタスを育てる実験が行われました。この実験は油井宇宙飛行士の滞在中に行われ、油井さんも試食に参加していました。宇宙で食べる採れたてレタスは美味しかったそうです(宇宙では新鮮な野菜を食べる機会はほとんどありません)。

また、地上でも完全に密閉した環境で空気や水などを循環させて環境を維持する実験も行われています。アメリカでかつて行われた「バイオスフィア2」実験では、東京ドームくらいの敷地に地球の環境が再現され、実際に何ヶ月もの間中で人が生活するという実験が行われました。日本でも環境科学技術研究所が閉鎖環境を作り、生態系内での物質の循環などの研究に活用しています。

こうした限られた資源を循環させて利用する「ミニ地球」の研究は、例えば宇宙飛行士が火星へ行くときのように、宇宙で長期間滞在しなければならない場合には必須の技術です。また、それだけでなく、水不足などの資源問題への解決策となったり、生態系の中で物質がどのように循環しているかを詳しく知ることができるという意味でも重要な技術といえます。

関連リンク
ISS内部の環境維持はどのように行うのですか? - ファン!ファン!JAXA!
ISSでは尿を処理して飲料水にしているとのことですが、安心して飲めるのでしょうか? - ファン!ファン!JAXA!
油井宇宙飛行士の活動状況:油井宇宙飛行士ISS長期滞在
環境科学技術研究所:閉鎖型生態系実験施設

[2016.4]

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