気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)におけるサイドイベントの開催

2018年12月2日から14日まで、ポーランドのカトビィツェにおいて、気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)が開催されています。
今回のCOP24は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による「1.5度特別報告書」の発表後に初めて開催される締約国会議であり、世界中の政府関係者や気候変動の専門家が集まり、気温上昇を2度未満に抑えるパリ協定の具体的なルール(実施指針)について議論しています。

今回JAXAは、世界中の政府関係者や気候変動の専門家に対して、どのように地球観測衛星の技術が気候変動に関する政策や意思決定に貢献することができるのか、ジャパンパビリオンや公式サイドイベント、展示等において発信しました。

【衛星による森林観測】

「透明性のある森林管理-REDD+に貢献する全球森林観測イニシアティブ-」

12月5日(水)には、欧州宇宙機関(ESA)とともに、透明性のある森林管理と題して、衛星データを自国や途上国の森林管理に役立てている事例や全球的な取組みを共有する公式サイドイベントを開催しました。このイベントでは、JICAとJAXAが協力して進めている「JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム(JJ-FAST)」の概要を紹介するとともに、実際に衛星データを森林管理に使っている途上国であるカンボジア、ガボン、モザンビーク等から現状が紹介されました。来場者からは、自国においてもJJ-FASTのような衛星観測を活用した森林管理システムを導入することができるのか、その際どのような能力開発プログラムの提供を受けることができるのか、等の質問がありました。また、ブラジルからの参加者からは、アマゾンにおける二酸化炭素の吸収量は気候変動による森林分布の変化により減少していることが最近の研究でわかったこと、これらのデータと衛星からの森林観測データを統合するとバイオマスの吸収量について新たな知見を得られるのではないか、との提案がありました。

【衛星による温室効果ガス観測】

12月6日には、ドイツ宇宙機関(DLR)等との共催で、ドイツパビリオンにおいて、サイドイベント:「新たな温室効果ガス観測に向けて」(”On the pathway to new greenhouse gas monitoring system”)を開催いたしました。
今年6月に実施したCOP24開催地カトヴィツェ近郊のシレジア地方のメタンの共同観測キャンペーン(COMETキャンペーン)の成果を紹介し、排出側からは独立した温室効果ガス観測(特にメタン観測)の必要性について議論しました。
冒頭、ポーランドAGH科学技術大学のSwolkien氏からは、採掘時に生じるメタン除去の取組みが紹介されました。課題として、除去を行っても、大気中に放出されるメタンがまだ多く存在しており、継続的な研究・技術開発が課題であることが報告されました。続いて、同科技大学のNecki氏から、自動車に搭載した可搬型装置や地上測器によるメタン観測、DLRのFix氏から、メタン・二酸化炭素と風速観測の測器を搭載した複数航空機を用いた観測についてそれぞれ発表が行われました。JAXAからは、「いぶき」によるメタン観測の結果について、地球観測研究センターの久世主幹研究員が報告を行い、衛星観測は、上空から投網をかけるようにメタン濃度を観測するため、航空機や地上で計測した風のデータを加味することによって、シレジアの炭鉱からのメタン排出量を算出できることを報告しました。聴衆からは、衛星データの入手方法について、質問があり、いぶき/いぶき2号及びSentinel-5Pの観測データは、オープン・フリーで入手できる旨、JAXAとDLRが回答しました。

2018年12月11日(火)更新