JAXAタウンミーティング

「第68回JAXAタウンミーティング in 大津」(平成23年11月12日開催)
会場で出された意見について



第一部「日本の宇宙開発の今と未来」 で出された意見



<本体回収の開発について>
参加者: 「はやぶさ」などの探査機の本体を回収する開発はしていますか。
樋口: 「はやぶさ」はオーストラリアにイトカワから採ってきた岩石の微粒子を入れたカプセルを着陸させたので、回収技術はそういう意味ではありますが、探査機本体のような大きなものを宇宙から持ち帰るということは、日本は今はまだできていません。国際宇宙ステーションに荷物を運んでいる「こうのとり」という7tぐらいの荷物を運べるものがありますが、その技術を開発して、もう少し大きなものを戻せるようにすることは考えています。ただ、無人で飛んでいる衛星は、役割が終わるとごみということで大気圏で燃やしてしまいます。
参加者: 先日、流星群を見ていたら、他の国の衛星の破片が地球上に落ちてきたと聞きました。
樋口: 夢のない話になりますが、流れ星の中の一部分に燃え尽きた衛星も入っている可能性があります。
寺田: 外国の衛星が地球に落ちてくるということで最近話題になりました。衛星などは、回収というよりは、地球に落して宇宙のごみにならないように燃え尽きさせてしまいます。たまたま2つほど燃え尽きずに落ちてきてしまったので、たくさんの報道がありました。

<震災時の高速インターネット衛星「きずな」について>
参加者: 震災の際、一生懸命広報されていたようですが、高速インターネット衛星の「きずな」はほとんど利用されなかったのが実態ではないかと思います。避難所などにアンテナとか発電機とか全部供与して、インターネットを利用してもらうことがなぜできなかったのですか。
寺田: ご指摘にあったよう、もっと使われるべきだったかもしれませんが、震災時に岩手県でインターネット衛星「きずな」が使用された例があります。震災が起こったのが特に海岸域だったので、現地対策本部は海岸部に設置され、一方、災害対策本部は盛岡市の岩手県庁に設置されました。距離が離れてたので、「きずな」を使ってハイビジョンのテレビ会議ができるような環境づくりを行いました。これによって現地での様子、現地に対する指揮命令、情報収集などがかなりスムーズにできました。ただ、問題だったのは、インターネットを配信するために、比較的大きなアンテナを設置しなければならず、多少稼働性が悪かったかと思います。もう一つは「きく8号」という衛星を使いました。これは直径18mとか19mのすごい大型のアンテナを衛星に積んでおり、大きなアンテナがなくても通信ができるというものでした。これによってインターネット環境をつくることができ、何千人、何万人の被災者の台帳の中から、自分の関係者や知り合いがどこにいるかを紙ベースで探すのは大変でしたが、インターネットを利用して名前や場所などで検索できるようにして、大変喜ばれました。
樋口: これはまだ技術開発をしている衛星なので、常時こういうものを国として持つということにまだなっていません。今後、どこかで災害が起こったらいつでも対応できるように、このような衛星を1機は持っておこうということで、現在、予算要求をしています。

<宇宙開発への支援について>
参加者: 日本の宇宙開発予算が1,800億円に対して、アメリカがNASAだけで1兆円プラス軍事予算。日本は本当に予算的にも立ち遅れている状況ですが、予算を獲得するにあたり国民運動的な助け舟が必要ではないかと考えていますが、何か周りでやれることがありますか。
樋口: タウンミーティングもまさにそういうことで、皆さんのご理解を得るという目的があります。先ほど紹介しましたように広報でウェブをつくっていて、そこでみなさんの意見をいただくようにしていますし、また「私は宇宙開発でこういう事業をやってほしいから寄附します」というような寄附制度も現在つくろうとしています。また、宇宙政策について、内閣官房にある宇宙開発戦略本部の事務局はこういう考えだけど、国民の皆さんの意見が聞きたいというようなときには「パブリックコメント」というものを求められます。そのようなときに直接意見を言っていただくことが一つの手段です。日本で効果があるかわかりませんが、アメリカでは国民一人一人が大統領に直接手紙を出して要求するようなことを行っています。いずれにしても国民全体がこういうことが大事だから、もっとやるべきであるということを為政者に伝わるようにご支援いただけるとありがたいと思います。

<子どもたちの理科離れについて>
参加者: 最近の子どもは私たちの子どものころと違って現実的で、宇宙開発に関してもすべてお金になるのかならないかの物差しではかっているような気がします。子どもたちに夢を持ってもらうためにどうしていくか真剣に考えないと、長い歴史の中で培われてきた日本のものづくりが衰退してしまう気がします。お考えをお聞かせください。
樋口: この討議の後に夢のある話は國中教授からいっぱい出ると思いますので、「もっと面白いことをやれ、こういう夢のあることを考えろ」など皆さんアイデアをどんどん出していただきたいということがまず1つあります。子どもたちに対しては、理科離れの問題にJAXAがどこまで貢献できるか分かりませんが、「JAXA教育センター」というものを5年前ぐらいにつくっていて、とにかく理科教育で宇宙のことを教えられる先生の数を増やそうということで、1000人ぐらいの小中学校の理科の先生が宇宙についてちゃんと話せるようになれば、大体小学校、中学校の時代に理科の授業で宇宙を習うという状況になります。2つ考えていて、1つはそのような先生をつくることで、もう一つは理科の教科書に宇宙のことがきちんと掲載されるようにしようと、最近では97%ぐらいの理科の教科書に宇宙のことが掲載されています。この努力を今後も続けていけば、少なくとも宇宙開発が今、どんな状態になっているのか、宇宙って何なんだろうと考える時間を子どもが少しでも持てる状況をつくれると思っていますので、期待しています。JAXA自身は先ほど申し上げたように先生が宇宙を教えられるように教材をお渡ししていますし、直接、子どもたちにもスペースキャンプやコズミックカレッジという形で宇宙の面白さを教えるような行事も限られた予算の中で続けています。少しずつですが、この状況を改善していけると思っています。
寺田: 午後にはそのコズミックカレッジが開催されることになっています。

<イベント周知方法について>
参加者: 最近の傾向としてすべてネット上で情報をオープンにすれば広がっていくだろうと考えているようですが、ネット環境を全員が持っているわけでもありません。たまたま私はメールで知ったんですが、こんな会があることを知らないと自分の言いたいことも言えないし、何をしてもらってもいいのかもわからない。昔に戻るようですが、紙ベースで全部の学校にいろんな情報をばらまくとか、そういったことをしないと、ネットだけでは情報が伝わらないと思います。また、私の所属する学会では、教員免許状講習というものがあります。10年に1回、教員免許を更新しなければなりません。やはり宇宙に関心を持ち、それを子どもたちに伝えられるような先生を養成しようと思えば、そのような事業をJAXAでも実施すればどうかと思います。
樋口: タウンミーティングや講演会を行ったときには、「どうして知りましたか?」というアンケートをとっています。インターネットで知ったという人が増えていますが、口コミや、自治体や教育委員会が主催ですと自治体の広報で来られる方が多くて、インターネットだけでの広報で済むという話ではないという認識は持っています。JAXAだけではなく、地元の関心を持っていただいている団体と一緒に組むことによって、地元の方々の口コミや、広報誌等に載せていただいて、皆さんに伝わるよう努力をしていますが、しっかり受け止めたいと思います。後半の部分も有効な方法があれば、我々もチャレンジしたいと思います。
参加者: 興味を持っている者が来るのは、結構なことでが、むしろ興味を持たない一般の層に対する働きかけが大事なのではないかと思います。私のやっている分野でも防災ということに関して、一般の方に何とかしていかなければならないと思っていますので、そういう方面の活動を是非お願いします。
寺田: 途中、紹介があったように、まずはJAXAの認知度ということで、JAXAを知ってもらう活動をやってきて、次は活動そのものをもう少し深くいろんな方に理解してもらうということを、どんどん努力していかなければいけないと思っているところで、その手段としてタウンミーティングというのもあるんですが、そのタウンミーティングもおっしゃるとおり、どうやって皆さんに周知して、宇宙のファンでない人にも来ていただくような働きかけをどうしたらいいかというのは、広報部としてもまさに考えているところです。

<国内宇宙産業の需要について>
参加者: 宇宙産業の基幹はロケット、衛星、地上設備かと思っていますが、ただ、日本は海外と比べると安全保障やインフラという面で需要が全くないと思いましたが、日本国内のロケット、衛星、地上設備の需要は増えると思われますか。また、何か働きかけをしていることはありますか。
樋口: 例えばGPSはアメリカの衛星を使っておりますが、準天頂衛星という仕組みでとりあえず4個軌道に乗せて、GPSではできないこと、補完をしたり補強するような仕組みをつくろうということで、国自身が衛星の需要を作っています。また、情報収集衛星というものがあって、これもかなりの個数持っていて、従来に比べて国内でも国が主導して衛星ロケットの需要を増やそうという努力をしています。なお、「パッケージ輸出」という言い方をしていますが、海外に衛星を売ります。最近三菱電機がトルコに通信衛星を2個売るということで契約が成立しましたが、そのときにトルコは日本の衛星を買うだけではなくて、トルコも衛星をつくりたい、あるいは自分で運用もしてみたいというので、売るときに政府がきちんと技術を移転します。トルコの方も自分で運用したりつくったりできるように、長い時間かけて技術を移転して、トルコが勉強できるようなことを政府が保証しますという格好で売るとか、最近はベトナムが衛星が欲しいということになってきて、ODAで円借款を外務省がつけることによってベトナムが衛星を持つということで、国内の需要も増やしつつ、海外に日本の衛星ロケットを売っていこうという努力を、国と産業界と一緒になってやり始めたところです。少しずつそれが今、成功し始めています。
参加者: 国内で民間での需要はもうないだろうと考えていますか。
樋口: とりあえず国は衛星を使って国家インフラをつくるというところから始めています。民間は民間で、北極海を通って船が通れるような航路を衛星から写真を撮って、ここを通るといいよというようなことを民間の会社がやろうとしていますので、民間需要も少しずつ増えてきています。衛星データを使って商売をしている企業は、かなり増えてきています。

<ロイヤリティ及びPR方法について>
参加者: 企業の間で共同開発して商品化するとロイヤリティが0.1%ということだったんですが、一般知識的には極めて低いレートと思います。もう少し堂々と開発料、ロイヤリティをとっていいのではないかと思います。新聞を見てもJAXAという名前が出てくるのは大体金星とか火星への探査などの報道が多い気がします。実際には生活ではいろいろ役立っているわけですから、テレビなどに地図などを提供した際に、左下隅にでもJAXA提供という文字を出すとか、災害が起きたら即全体の映像を撮って解析して、それを各自治体に提供するなどして、それをJAXAがやっているんだというPRも大きなPRだと思います。
樋口: 訂正しなければいけませんが、「COSMODE」というJAXAブランドをつけたときの使用料を売上げの0.1%にしているというのは、いわゆる技術移転をしたロイヤリティではありません。ロイヤリティは10%とか15%、技術を移転した場合は別の特許料とかそういうものは世間と同じようにいただいています。あれはJAXAと関係して商品をつくりました、JAXAの技術なり情報が一部入っている情報として付けていますので、ラベルの使用料だと思っていただいて、私がロイヤリティという言葉を使ったので誤解を与えてしまいました。JAXAの撮った衛星データあるいは写真は一応右下にJAXA提供とか、NHKはカメラを積んでいますとJAXAとNHK提供ということは一応小さくは入れています。ちょっと小さ過ぎるのかもしれませんので、いろいろ改善していきたいと思います。
寺田: 震災が起こった直後に撮った画像などは、政府や自治体に提供しました。画像が提供された際には、?JAXAというものを控えめに載せさせています。いろんなところに提供していますので、今後気をつけて見ていただければわかると思います。

<広報の方法について>
参加者: 地元のメーカーなどとコラボレーションしてタウンミーティングを開催するのもすごく面白いかなと思いました。また、宇宙を題材にしたゲームなどが出るときに、そこのゲームメーカーと発売記念タウンミーティングをやりますみたいな形で行うと、その企業は勝手に宣伝をしてくれるわけで、お互いにとってwin-winの関係になれるのかなと思いました。メーカー、企業などとコラボしてもらって、JAXAさんが頑張らなくても情報が企業から回ってくるような状況になるとすごく面白いかなと思いました。
寺田: 今年度中にタウンミーティングは全県回ります。来年度からはそういう意味では2順目になっていくということで、少しこのタウンミーティングのやり方も工夫していこうかなと思っています。企業などとコラボして開催するということはとてもいい観点かなと思いますので、是非参考にさせていただきます。
樋口: JAXAの事業は税金で行っていますので、ある企業のある商品の販売を促進するような形のコラボができません。許される範囲で宇宙を応援しようという企業と幾つかのことをやり始めていますので、ご覧になった方がいると思いますが、ソフトバンクの犬と古川飛行士が交信をしているような映像とか、オロナミンCで嵐の櫻井さんが筑波宇宙センターを訪ねて、日本の元気の象徴として映像を使っていただいたりして、そのようなことをできるだけ努力していきたいと思っています。いいアイデアがありましたら是非教えていただければありがたいと思います。

<有人飛行について>
参加者: 「プラネテス」というアニメの情報提供の欄でJAXAという名前があって、初めてそこでJAXAという存在を知りました。ニコニコ動画でのJAXAの放送もよく見ていますので、そういうサブカルチャーとのコラボレーションや古川さんのプロ野球の始球式みたいにメジャーなスポーツとの関わりも、もっと行っていった方がいいかなと思います。私は宇宙飛行士にすごく憧れていまして、日本独自の有人飛行はいつごろになりますか。
樋口: サブカルチャーとコラボするというのはおっしゃるとおりで、これからもいろんなことにチャレンジしていきたいと思います。有人の問題ですが、研究レベルではかなりいろんな準備が進んでいることと、国際宇宙ステーションに参加していますので、人間が宇宙で安全に活動することについて、かなり国際的にも引けをとらないレベルまで技術はきていると思っています。問題は日本のロケットで宇宙へ行って、日本の宇宙船で帰ってくるという技術がまだありません。それについては政府に日本も有人ロケットをやるようなことを検討してほしいということをいつも要望している状況です。政府もいろんな意味で有人についても考えなければいけないなというムードはだんだんできてきていると思いますが、我々は実施機関ですので国が日本もやるぞと言うかどうか、あるいは言ってもらえるようないい提案をするかどうかだと思っています。
寺田: サブカルチャーに関して言えば、例えば漫画の「宇宙兄弟」とコラボしたり、逆にJAXAの衛星が擬人化されて「はやぶさ君」とか、そういうものが独り歩きするような、それが皆さんにJAXAを知ってもらう1つの手段かなと考えています。是非いろいろとアイデアをください。

<JAXAの展示館について>
参加者: 各務ヶ原の博物館に行ったらいまだにNASDAだったんです。ここを見ればJAXAのことが全部わかるようなJAXA博物館みたいなものがあったらいいなと思いました。そのような予定などはないのでしょうか。
樋口: 今までの人工衛星やロケットの実際の試作品のようなものが一番そろっているのは筑波宇宙センターです。そこは「スペースドーム」と称してかなりいろんなものが見られますので、とりあえずは筑波宇宙センターをご覧いただくのが一番いいんだと思います。分散していますけれども、相模原にも少し過去の衛星ロケットはご覧いただけますし、最近では、名古屋市立科学館がかなり充実しておりますので、ここからだと比較的近いかもしれません。JAXA筑波の場合はお正月は休みますが、土日も博物館は開けておりますので、是非お出かけいただければありがたいです。最近、筑波宇宙センターは年間20万人を超えていますので、毎日500~600人の方にご覧いただいて、観光バスがいつも2~3台は停まっている状態です。
寺田: 筑波宇宙センターはJAXAで持っている展示館ですが、例えば名古屋の科学館は協力して展示物を提供などして協力しております。関西地区はどうしても手薄になっていて、この辺の近くですと名古屋とか、大阪にもOSTECという科学技術センターで展示をしています。そこも展示物がだんだんと古くなって、さすがにNASDAではありませんが、そういうもののリニューアルもしなければいけないなと思っています。そういうものがどこに展示されているかというものもご紹介していければいいかなと思います。

<中国や韓国の宇宙開発について>
参加者: アメリカは予算が多いとのことですが、その配分をお教えください。人件費の要素が多いのではないのでしょうか。また、中国、韓国は予算を大きく伸ばしていて、ここが脅威だと思う点などお聞かせください。
樋口: 人件費は皆さんどこでも10~20%の間で、若干NASAは多いかもしれませんが、配分という意味では人件費は大体10~20%の間だと思います。JAXAも大体十数%です。中国、韓国が脅威かという議論ですが、中国の国としての宇宙開発にかける意気込み、宇宙を大事にしているという意味ではうらやましいくらいですが、軍とかなりつながっています。我々も中国と一緒にやりたいということで、国際宇宙ステーションなどは中国が参加する場合は「ウェルカムですよ」というメッセージを送ったりはしていますが、中国の国の方針が独自路線で中国の国威発揚が中心になりつつあるのかなという意味で、国際的な一緒の仲間として同じ価値観で宇宙開発をやっていきましょうという話し合いが今できていない状態ですので、懸念はあります。脅威というより懸念です。ですから、できるだけ仲間として一緒にやれるような格好で我々もドアを開けておきたいし、コミュニケーションは続けていきたいと思っています。もともと韓国は100億も使わないくらい小さな額だったので、今は300億、500億になっているので、それが5倍、10倍と見えますけれども、まだ規模としてはJAXAよりはかなり小さいですが、もともと産業がしっかりしていますので、いずれ仲間になっていくと思います。脅威というより一緒にいろんなことをやれる時代が来るんだと思います。

<人材の育成について>
参加者: 高校などに人を派遣したり、そこで教えられる先生の教育をしているとのことでしたが、例えばスーパーサイエンスハイスクールなど、そういった高校生の中で優れた人間を引き抜いて、何か月間か研修させたり、サマーキャンプというのを長期でやられたりとか、そういったことはなされているのでしょうか。
樋口: スーパーサイエンス校としては島根大の教育学部などと2~3校は行っています。優秀な人材を選んでというのはありませんが、例えば国際会議に宇宙法というものがありますが、宇宙を人類が使っていくために国際的な法律をきちんとつくらなければいけない。そういうもので宇宙法の研究をしている学生たちが摸擬裁判というものを国際的に行います。そういうときに国内で予選をして、一番いい人を国際学生の大会に援助するとか、そういう形でいろんな研究者の派遣あるいは学生の国際学会への派遣はいくつか行っています。

<技術者団体の国への働きかけについて>
参加者: 日本という国は技術に頼る国であるのに、あまり理系やエンジニアを支援しているように思えません。私大では、文系と理系の学費の差が激しく、私としては理系の学費が文系の学費並みに落ちるように国として支援していただきたいと思っています。例えばアメリカなどは技術者の団体があって、いろいろと国に圧力をかけているといった話を聞きますが、日本でもJAXAさんやほかの理系の技術者団体と組んで、もっと国に圧力をかけるべきではないでしょうか。
樋口: 学術会議等はタイムリーに、あるいは航空宇宙学会はいろいろ宇宙の節目節目では宣言を出されたりしていますし、いろんな学会からはこうあるべきであるという提言を年に何回かは我々はいただいています。例えば、固体惑星学会から「はやぶさ2」を早くしてほしいですとか、リモセン学会からは地球観測衛星をきちんとやりなさいということは、かなりの頻度でいただいていますし、それが文部科学大臣に行ったりもしていますが、皆さんから見ているとそういう団体の圧力がまだ、アメリカに比べたら確かに弱いかもしれません。
國中: 教育の現場としては、こういった分野に努力してもらえるように、いろんなチャンネルで学生をエンカレッジするというのが私の立場から思うところです。学費という問題も大きな問題だと思いますが、その領域まではなかなかJAXAとしては手を出せる領域ではないものですから、JAXAはJAXAのチャンネルでいろいろな情報を展開していくことが職務かなと思うところです。

<JAXA'sについて>
参加者: 『JAXA's』という雑誌を滋賀県立図書館で一度だけ見たことがあって、その一度だけ手に入れたことがありますが、そのあとは1回も見たことがなくて、人気があってすぐなっていると思うんでが、補充をどんどんしていただきたいなと個人的に思います。
寺田: 雑誌そのもののお金は要りませんが、送料実費をお支払いいただくと定期購読することができます。是非お申込みいただければと思います。