JAXAタウンミーティング

「第20回JAXAタウンミーティング」 in 那覇(平成19年11月18日開催)
会場で出された意見について



第二部「宇宙から宇宙を探る」で出された意見



<「あかり」の観測画像の中の、円いリングのような部分について>
参加者:先ほど「あかり」の観測画像のオリオン座の右上のほうに、円いリングのようなものが見えていましたけれども、あれは超新星残骸なんですか。
村上:はい、おそらく超新星残骸だと思います。超新星などは必ず周りのガスを吹き飛ばして穴が開いているように見えます。他にも太陽の何十倍とかいう重い星があって、そういう星があるとガスをいっぱい噴き出すものがあります。それ以外に紫外線をすごく強く出します。紫外線が出ると周りの水素ガスの原子核がばらばらになるとかあって、とにかく温度が上がるんですよね。数千度に温度が上がって、それで膨張して押すというのもあります。多分、両方が絡んであんな穴ぼこになっているんだと思います。
参加者:他にもこういったのはあるんでしょうか。
村上:こういう穴は、実はたくさん見えました。星が出来ているところにはこういう穴ぼこは、すごくたくさん見えます。一つの直径が100光年とか何百光年とかというすごく大きな空洞が見えます。

<のぞみのスイングバイの成果について>
参加者:1998年に打ち上げました火星探査機の「のぞみ」ですが、スイングバイ方法で火星到着が4年遅れたという話がありました。要するに燃料を使って航行させるのか、うまくスイングバイを使うかというのは、これはスイングバイをできるだけ使わない方法を取って燃料で動かすということなんでしょうか。到着が遅れてかなりの予算を使ったと思います。
村上:スイングバイとかを使うのは、燃料はできるだけ節約してうまく軌道に乗せようという工夫だと思います。天体の運動を利用して重力を利用して、うまく軌道を変えたり、それでできるだけ効率良く速く行われるように、エンジニアの方たちがいろいろ計算して考えています。
参加者:スイングバイに興味がありまして、総合学習に非常に良い教材じゃないかと思うんですよ。高級なレベルの話から、高校、中学、場合によっては小学レベルの話までいろんな人に話題の提供になると思っています。たまたま、「のぞみ」が、燃料の使い方が悪いと言ったら変ですけれども、スイングバイがあって到着が4年遅れるというのは、ちょっと素人から見ますと、意外な感じがします。それで人も金も資源もいっぱい使ったんだろうなあと思いまして、質問させていただきました。
村上:「のぞみ」は最初、故障があって、燃料を使ってしまいました。要するにスイングバイで燃料を節約した形でないと火星に飛べなくなったというのが正解です。だから逆に言うと、燃料がなくてもそういううまい工夫はあったということだったとは思います。

<ブラックホールとホワイトホールの存在について>
参加者:初歩的な質問になるかもしれませんが、ブラックホールというのがあるとすると、ホワイトホールというのを聞いたことがあるんですけれども、それって実際にあるものなんでしょうか。
村上:理論的には予測はされています。ただ実際にそれがある証拠はまだ何も見つかってはいません。
参加者:後もう1点なんですけれども、最近NHKの朝の番組で見たんですが、5次元か6次元か何かわかりませんけれども、そういった見えない所での何かエネルギーみたいなものも存在するのでしょうか。
村上:今、私たちの宇宙はどんどん膨張していますけれども、最近わかったのは、宇宙が膨張するのが加速しているという話が出ています。昔に比べて、今って宇宙の広がり方が速いというのが出てきています。それを説明するのは何だという時に、宇宙空間にはダークエネルギーというのがあって、それが宇宙を押し広げて行っている話になっています。あと、5次元、6次元、十何次元の話、たぶん素粒子論との絡みで出てきている話かと思います。元々私たちが住んでいる宇宙というのは三次元、時間を入れて四次元と言いますけれども。実はもっと次元があると言われても、別に感覚的には何もわかりませんけれども。素粒子論の世界ではそういうものが出来て、そのうちの何次元かは私たちは感じずに、見えないような世界があるという話なんです。さっきのダークエネルギーとか膨張の話と絡んでそういう話があります。

<「すざく」と「はるか」について>
参加者:「すざく」が運用停止になっているというふうに話が出ましたが。
村上:運用停止と言ったのは「はるか」です。電波天文衛星の「はるか」という衛星が、運用終了しました。「すざく」はまだ元気です。
参加者:電波天文衛星というのはどういう役割なんですか。
村上:さきほど図をお見せしましたが、電波望遠鏡を一台、地球の外に置いて、それと地球にある電波望遠鏡と一緒になって、非常に高い解像度を出そうという衛星でした。
地上の望遠鏡と一緒にVLBIと呼ばれている技術なんですけれども。それで両方でデータを取って解像度を上げるという観測をしていました。
参加者:その「はるか」がもし今、回っていないとしたら、地上の電波望遠鏡は使えないことになるんでしょうか。
村上:同時に地上の望遠鏡と両方で観測をすると威力を発揮する望遠鏡なんです。