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★☆★JAXAメールマガジン 第235号★☆★          + 発行:2014.12.19 +
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=目次=

★ JAXAトピックスフラッシュ
  はやぶさ2カウントアップレポート“L+(エルプラス)”始動 / 金井宇宙飛行士、こんにちは! / 他

★ 宙川柳(そらせんりゅう)
  第11回結果発表!

★ JAXAイベントガイド
  ニイガタ×宇宙 人工衛星クラブ 新潟を宇宙の視点で見てみよう! / JAXAタウンミーティング / 第7回EFD/CFD融合ワークショップ / 他

★ 夢を飛ばす人々・メルマガ版 〜航空研究者が綴るコラム〜
  フライトフラッタ試験の思いで

★ 宇宙つれづれ
  ウソだけどオカルトじゃないお話

★ JAXAイチオシサイト
  だいち2号による昭和基地近辺の海氷状況観測について / JAXA宇宙飛行士活動レポート2014年11月 / イチオシ動画

★ デジタルアーカイブのオススメ
  油井亀美也宇宙飛行士

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★ JAXAトピックス フラッシュ
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◆はやぶさ2カウントアップレポート“L+(エルプラス)”始動

12月3日に打ち上げられた「はやぶさ2」は搭載機器の初期機能確認を順次行いながら、順調に航行を続けています。
打ち上げ後の経過時間を示す際、運用現場では「Launch(打ち上げ)」と「プラス○日」を組み合わせて「L+1(=エルプラスイチ)」と表現します(あくまでも一例ですが…)。
今後、「はやぶさ2」の航行ステータスなどをお伝えするにあたり、6年間という長いミッション期間での“時間経過”を皆さんと一緒に感じていきたいとの想いから、レポートタイトル名といたしました。
“L+”では、月・惑星探査プログラムグループ広報担当者がミッション内容や運用状況にまつわるトピックスをお伝えしてまいります。どうぞお楽しみに!

△ はやぶさ2最新情報は特設サイトをチェック!
http://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/


皆さまからお寄せいただいた「はやぶさ2」/H-IIAロケット26号機の打ち上げ写真を公開いたしました。雲を突き抜けて飛び立つH-IIAロケットとはやぶさ2の勇姿がくっきり写し取られています。ぜひご覧ください。

△ はやぶさ2/H-IIAロケット26号機 打ち上げ写真集
http://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/f26.html


また、宇宙教育テレビでは、「はやぶさ2」特集として、スペシャルゲストに國中 均プロジェクトマネージャをお迎えし、1日宇宙記者によるインタビューなど、いろいろなお話を伺いました。ぜひご覧ください。

△ 【第129回】 宇宙教育テレビ「はやぶさ2」特集
http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/3544.html

「はやぶさ2」への応援メッセージの募集を12月31日まで延長いたしました! ここで、みなさまからお寄せいただいた応援メッセージをご紹介します。

“打ち上げ成功おめでとうございます! ミッションの成功と無事な帰還を心から祈っています。そして、プロジェクトに関わるすべてのみなさまへ、どんな時でも応援しています!”
投稿者:エスエイチ。様

特設サイトからの投稿はもちろん、Twitterでも #hayabusa2 をつけてつぶやいてください!

△ 「はやぶさ2」への応援メッセージ募集!
http://fanfun.jaxa.jp/odai/detail/3095.html

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◆金井宇宙飛行士、こんにちは!

2011年7月にISS搭乗宇宙飛行士として認定されて以降、日本をはじめとする世界各地で訓練に励む金井宣茂(かないのりしげ)宇宙飛行士。2014年9月末、訓練のため日本に一時帰国した金井さんに、ファン!ファン!JAXA!編集部がお話を聞きました。
記事へのご感想・ご質問は、ぜひコメントからご投稿ください!

△ 金井宇宙飛行士、こんにちは! [前編]
http://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/3482.html

△ 金井宇宙飛行士、こんにちは! [後編]
http://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/3488.html

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◆年末年始はJAXAの広報誌を読んでみよう!

JAXAでは、より広くの皆様に事業を知っていただくため、様々な定期刊行物を発刊しています。JAXAの各事業所、全国の科学館などで配布している他、ウェブサイトよりPDFファイルでお手軽にダウンロードいただけます。
機関誌「JAXA's」ではこの度、広告を掲載してくださる企業の募集をはじめました。ご興味のある企業ご担当者および個人事業主様は、こちらをご覧ください。

△ JAXA'sに広告を掲載しませんか?
http://www.jaxa.jp/projects/pr/pub/index_j.html

△ 研究開発本部の広報誌「宇宙開発最前線」Vol.5発刊
http://www.ard.jaxa.jp/publication/pamphlets/newsletter.html

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◆太陽風はどう作られるのか?
 〜金星探査機「あかつき」が明らかにした太陽風加速〜

JAXA宇宙科学研究所と東京大学の研究者らは、金星探査機「あかつき」の電波観測などによって、太陽の近くから太陽半径の約20倍離れた場所までの太陽風を調べ、太陽半径の5倍程度離れた距離から太陽風が急激に速度を増していることがわかりました。

△ プレスリリース
http://www.jaxa.jp/press/2014/12/20141218_akatsuki_j.html

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◎ トピックス満載! ファン!ファン!JAXA! はこちら!
http://fanfun.jaxa.jp/topics/

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★宇宙航空にまつわる川柳「宙川柳」(そらせんりゅう)
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◆第11回結果発表!

第11回の宙川柳のお題は「はやぶさ2」としましたが、打ち上げ直前のタイムリーな話題だったこともあってか、合計411句もの投稿をいただきました。

ご応募いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

単に句の中に「はやぶさ2」を読み込むのではなく、世界に驚きと感動をふたたび巻き起こすであろうこの新たな挑戦を様々な角度から捉えたひねりの利いた作品を、との呼びかけに応えるような川柳らしい投稿が相次ぎましたが、編集部では熟考の結果、以下の10作品を選定いたしました。

宇宙旅 急がば回れ スイングバイ (ふくまるさん)
#1年後に地球へ戻ってくることを「急がば回れ」でうまく捉えています!

3億の イーグルショット カップイン (サトちゃんさん)
#小さな小惑星にたどり着く精度はゴルフに例えればこうなる?!

改良で 不測の事態 不足する (よったんぼうやさん)
#不測の事態は不足どころか「ゼロ」であってほしいですね。

不具合が ない感動も してみたい (まりともさん)
#結果オーライ、にならないようにあらゆる面で機能を強化しております。

無事帰還 二つあげるよ 二重丸(2020) (まこっちゃんさん)
#これは、うまい! 五輪もあるから世界から五重丸がもらえるかも。

女子校で 私だけだよ はやぶさ通(2) (伽苗さん)
#若い女性にもしっかり浸透したいと願う「はや2」君であった(汗)

君のイシ 確かめたくて 遙々と (のったんさん)
#石=意思を確かめるってことですね。想い人に会えるその日まで頑張れ〜

二代目は 親が偉いと やりにくい (老虫さん)
#親が偉いときっと子も優秀なのさ〜。どちらかといえば兄さん?

機嫌良く 起源を探査 期限まで (陽香さん)
#長い宇宙の旅路を経てもご機嫌でサンプル持ってきてほしいですね。


☆ ソラセン大賞

還る日に 渡そう君へ ランドセル(6年経てば小学生)(球体.さん)

今回、はやぶさ2の帰還が予定されている6年後のご自身やご家族に思いを馳せた川柳が多く寄せられました。その中で、この句は「はやぶさ2」がカプセルを地球に渡してくれる様と、ランドセルをお子さんに渡す光景が重なり、ひねりが利いているので選出しました。どなたも元気で6年後を迎えましょう!(machiko)

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★ JAXAイベントガイド
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☆ 一般向けのイベント・募集
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◆ニイガタ×宇宙 人工衛星クラブ 新潟を宇宙の視点で見てみよう!

人工衛星クラブは人工衛星が宇宙でどんな仕事をしているのか、地球環境にどう役立っているのかを伝えるプロジェクト。見て、聞いて、食べて、楽しく宇宙の一部を感じてみよう!

  日時:12月12日(金)〜25日(木)
  場所:ラフォーレ原宿・新潟(新潟県新潟市)

△ ニイガタ×宇宙 人工衛星クラブ
http://www.laforet.ne.jp/niigata/news_events/130

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◆「だいちの星座プロジェクト-つくば座・もりや座-」参加団体募集!

アーカスプロジェクトでは、アート&サイエンスをより楽しく体験し学ぶ機会をつくる為に、茨城県南地域を対象に「だいちの星座プロジェクト -つくば座・もりや座-」を開催します。
参加者の皆さんと、つくば市・守谷市を大きなキャンバスに見立て、生活に身近な材料を用いたDIYによって簡単に作れるオリジナルの新しい「星」を地上に設置し、その配置した星=星座を人工衛星に搭載されたカメラによって宇宙から撮影する計画です。

  エントリー受付期間:12月20日(土)〜1月26日(月)
  撮像日:つくば座 2月21日(土)、もりや座 3月7日(土)両日とも11:00〜13:00
  場所:茨城県つくば市・守谷市

△ だいちの星座プロジェクト - 参加団体エントリー募集
http://www.arcus-project.com/jp/event/2014/ev_jp141219102823.html

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◆〜種子島と内之浦 はやぶさで繋がろう!〜内之浦と共にあり続けた牧 工写真展

内之浦にてロケットの打ち上げを撮影し続けた写真家、牧 工(まき たくみ)さん。貴重な写真と共に、内之浦宇宙空間観測所の歴史を振り返ります。
芸術的な作品を楽しむと共に、日本の2大ロケット発射場である種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所を比べてみてください。

  日時:12月25日(木)〜1月30日(金)
  場所:JAXA種子島宇宙センター宇宙科学技術館

△ 〜種子島と内之浦 はやぶさで繋がろう!〜内之浦と共にあり続けた 牧 工写真展
http://fanfun.jaxa.jp/event/detail/3549.html

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◆水星のクレーターに名前をつけよう!

打ち上げから10年を迎えるNASAの水星探査機「MESSENGER」をお祝いして、MESSENGER運用チームは水星にある5つのクレーターの名前を募集しています。あなたが大好きな著名人の名前を、敬意を込めて水星に残しませんか?

  締切日時:1月16日(金)8:59(日本時間)

△ 水星のクレーターに名前をつけよう!
http://fanfun.jaxa.jp/event/detail/3549.html
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◆JAXAタウンミーティングの開催のご案内

日本の宇宙航空開発について、市民の皆様と直接意見を交換する対話集会です。将来の宇宙航空開発につながるアイデアや方針ができていくことを狙っています。

 ○“宇宙を探る!宇宙から探る!”「JAXAタウンミーティング」in 岡山県生涯学習センター
  日時:1月24日(土)14:00〜16:30
  場所:岡山県生涯学習センター(岡山県岡山市)
  詳細・お申し込み:http://fanfun.jaxa.jp/event/detail/3465.html
  定員:150名/事前申込制(先着順とし、定員に達し次第締め切り。)

△ JAXAタウンミーティング
http://fanfun.jaxa.jp/event/townmeeting/index.html

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☆ 学生・青少年向けのイベント・募集
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◆みんなで「どんぐり」を集めようキャンペーン

誰もが一度は子どもの頃に拾った経験がある「どんぐり」。あなたが近所で拾ったどんぐりは、別の地域に住んでいるお友達が見たら「珍しいどんぐり」だと思う場合があります。全国のみんなで協力し合えば、いろんな地域のどんぐりについて知ることができます。あなたの住む地域のどんぐりの写真を撮って投稿し、全国のお友達に紹介してください。ご投稿いただいた写真やスケッチは、本ウェブサイトで紹介いたします。皆さまからの投稿をお待ちしております。

△ みんなで「どんぐり」を集めようキャンペーン(宇宙教育センター)
http://edu.jaxa.jp/campaign/acorns2014/

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☆ 専門家、自治体向け
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◆第7回EFD/CFD融合ワークショップ

JAXAでは、将来の航空宇宙機の研究開発におけるEFD(実験流体力学)とCFD(数値流体力学)両者の有機的な融合の必要性・重要性を強く認識しており、そのために本件に関わる研究者、技術者が情報交換をする場を提供することを目的として、本ワークショップを企画いたしました。航空宇宙に限らず様々な分野からのご参加をお待ちしております。

  日時:1月26日(月)10:00〜17:30
  場所:秋葉原コンベンションホール カンファレンスフロア

△ 第7回EFD/CFD融合ワークショップ
http://www.aero.jaxa.jp/publication/event/event150126.html

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△ 子どもから大人まで楽しいイベント情報のご案内
http://fanfun.jaxa.jp/event/

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★ 夢を飛ばす人々・メルマガ版 〜航空研究者が綴るコラム〜
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◆フライトフラッタ試験の思いで

1984年の冬と覚えている。当時NAL(航空宇宙技術研究所、現・JAXA)では、国を挙げた「飛鳥」プロジェクトを推進していた。「飛鳥」の開発はFJR710エンジンと機体の同時開発として珍しいケースであった。

エンジン開発の最終段階として、エンジン空中試験というのがある。実飛行条件での性能確認である。この試験には、航空自衛隊の所有するC1輸送機改造のエンジンフライトテストベッドを用いることになった(今も健在である)。C1輸送機の右翼の外舷側にもう一つ、試験すべきエンジンをぶら下げる左右非対称の珍しい形態となる。私の役目は、エンジン性能確認ではなく。エンジンテストベッドの特に右翼のフラッタに関する安全性の確認ということであった。

試験が始まり、前段階のフラッタ確認試験に計測班として搭乗するよう命じられた。フラッタ計算結果をプロジェクト側に報告はしたものの、フライトフラッタ試験は正直言って嫌であった。空力性能計算だと“理論計算ほどには性能が出ないね”などの議論で終わる筈であるが、フラッタの場合は違う。落っこちてしまう。昔から航空の世界では、設計・計算した人は試験飛行に搭乗しないのが慣例ではないか、など当時の部長さんにゴネてはみたものの、やっぱり駄目。

時期は1月、雪が降る時期と覚えている。航空自衛隊岐阜基地の航空実験団(現・飛行開発実験団)に合流した。天候が合わないということで時間が過ぎた。この時間が良くない。今までの自分の計算のファイルを見直し、大丈夫か? 気になる。

いよいよ、試験飛行となり、嫌がっているのを後ろから押し込まれるような状態で機内に入った。飛行試験など勿論初めてである。通常、フラッタ試験が一等先にくる。岐阜を離陸して、若狭湾上空の実験空域まで行く。高度、マッハ数を指定、水平飛行、エルロンジャーク(飛行機の翼後縁に装備されているエルロン(補助翼)を急激に操舵し翼および機体に振動源を与える方法)を入れたあと機上で応答を解析、減衰率を求めプロマネ報告し、安全であれば機長に次のケースの飛行条件を指定するというのが私の役目として定められていた。
エルロンジャークが入ると、通常の旅客機では経験できないほどの衝撃がある。始めての者にとっては、ぐらぐらと何が起こったか分からぬほどである。翼の応答から、減衰率を求める。簡単な作業であるが、不思議なことに、飛行試験に慣れない人間には(少なくとも私には)とても難しい。初めてのフライトフラッタ試験という緊張と気圧の所為としておく。頭は半分以下。

最初のエルロンジャークの応答解析の結果、規定の減衰率を下回る結果となった。プロマネに報告すると、次のケースの判断をしろということである。私は、機長に対して減衰率規定以下のため、以後の試験中止、岐阜基地への帰還を要請した。機長はなんのためらいも無く、‘了解’と発して私の言うとおりすぐさま岐阜への帰路についた。
大失敗である。降りてから、当然、試験結果の吟味が始まる。再計算した結果、何の問題も無く十分な減衰率が確保されていた。1フライト無駄にした。プロマネから叱られた。1フライトいくらかかると思ってんだ! ただ、機長は慰めてくれた。飛行試験は少しでもリスクがあれば最も安全な選択をしますと。

試験は続いた。私は当然下ろされるだろうと覚悟していたが、プロマネは私に再度搭乗を命じ、同じ作業を任せた。2フライト要したと記憶している。当初予定したケースの翼の減衰率をすべて計測し、フラッタクリアーの結論を得た。私を見離すことなく計測員として使ってくれたプロマネ、機上での作業を後ろから見守っていただいたメーカの先輩、皆さんに大変お世話になった。入所3年目くらいの私にとって、この経験はその後の研究に大いに役に立った。感謝している。(中道二郎)



△ Wikipedia: C-1フライトテストベッド(C-1FTB)

http://ja.wikipedia.org/wiki/C-1_%28%E8%BC%B8%E9%80%81%E6%A9%9F%29#.E6.B4.BE.E7.94.9F.E5.9E.8B

※本来のエンジンP&W JT8Dの外舷側に、旧NALで開発中であったFJR710/600Sを取り付け、飛行試験を行った。



△ Wikipedia: STOL実験機「飛鳥」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9B%E9%B3%A5_%28%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%29



△ 夢を飛ばす人々〜航空研究者が綴るコラム〜 バックナンバー

http://www.aero.jaxa.jp/publication/column/



△ 航空本部

http://www.aero.jaxa.jp/



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★ 宇宙つれづれ

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◆ウソだけどオカルトじゃないお話



各種推計によりばらつきはありますが、世界人口が80億人を超えるのは2025〜2030年頃となるようです。仮にその時代の世界人口に4億人ほど加わった状態で、全員にてんびん秤のお皿に乗ってもらい、その秤の水平を保ち続けようとするのは、至難の業というかそもそもムリな話です。
しかし金星探査機「あかつき」に搭載された「超高安定発振器(USO:Ultra-Stable Oscillator)は、世界人口全員どころかそのうちの誰か一人の体重の1%の増減すら許さぬほどの安定度で、発射する電波の周波数を維持します。「8.4GHz(ギガヘルツ)で0.01Hzの安定度」、すなわち10のマイナス12乗の桁の話を人間の体重に置き換えてみるとそういうスケールになってきます。まったくウソ(USO)みたいな話ですね。
もともとUSOは金星大気の気温や硫酸蒸気、電子密度の情報を得る目的で搭載された機器です。探査機が金星の裏側を回るとき、金星の大気を通過して地球に届く電波の周波数や強度の変化からそうした情報を読み解くことができる。その電波源を利用し、ワンチャンスのタイミングを生かした観測成果が昨日発表されました。

△ 太陽風はどう作られるのか? (プレスリリース)
http://www.jaxa.jp/press/2014/12/20141218_akatsuki_j.html

天体が天体を隠す現象「掩蔽(えんぺい)」を英語でオカルテーションと呼びますが、この観測では「あかつき」は太陽の後ろに隠れることなく、太陽の北極をかすめて移動しました。この観測はオカルトではなかったわけですが、では、それほどの安定度の発振器とはどのようなものか? その心臓部はみなさんも身につけている時計や携帯電話に必ず入っているクォーツです。時計では正確な1秒を生成するために使われますが、携帯電話やスマホでもこれがないとシステムは成立しません。送受信する電波の周波数がズレていると、自分が通信できないだけでなく周囲にも迷惑をかけてしまうからです。
天然の水晶からさらに純度を高めて結晶成長させた人工水晶(SiO2)を特定の厚みにスライスすることで、特定の発振周波数をもつ発振子(いわば音叉)が作られます。またスライスするとき、その面を結晶軸に対し特定の角度にすることで、温度変化に強い(周波数変動が小さい)発振子が得られます。またたくさんの携帯端末と電波をやりとりする基地局設備では、温度依存性の小さい発振子をさらに温度を一定に保つケース(恒温槽)に収めたモジュールで、より正確な周波数が得られるような状態で使われているそうです。
そうした技術のバックグラウンドと、太陽をかすめる軌道の妙が重なって、今回発表の「太陽風観測」が実現しています。
ちなみにこの水晶の加工技術、表面に付着した分子の重さも見分ける鋭敏さがあるため、ガス漏洩を検知するセンサーにも使われているそうです。きわめてデリケートな、スライスされた人工水晶。それを作るにはきっと、フグの薄造りをするような技量が必要でしょう――。
すいません、寒くなってきたのでつい湯気のたつ熱燗とフグちりなど想像してしまいました。今年も残り少なくなってきましたが、よいお年をお迎えください! (MK)

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★ JAXAイチオシサイト
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◆だいち2号による昭和基地近辺の海氷状況観測について

国立極地研究所とJAXAは、南極観測船「しらせ」の昭和基地沖への接岸に向けて最適な航路を選択するため「だいち2号」で海氷状況観測を開始しました。

△ 画像付きの全文はこちら
http://www.eorc.jaxa.jp/news/2014/nw141211.html

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◆JAXA宇宙飛行士活動レポート2014年11月

JAXA宇宙飛行士が2014年11月に行った以下の活動についてご紹介します。

  ○油井宇宙飛行士、ソユーズ宇宙船(41S)のバックアップクルーとしてプライムクルーに同行
  ○大西宇宙飛行士、ISS長期滞在に向けた訓練を実施 米国では野外リーダーシップ訓練に参加
  ○金井宇宙飛行士がT-38ジェット練習機の整備訓練を実施
  ○星出宇宙飛行士が低圧環境適応訓練を実施

△ 宇宙飛行士活動レポートはこちら
http://iss.jaxa.jp/astro/report/2014/1411.html

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◆イチオシ動画

○ Space Navi@Kibo 若田×星出 特別対談企画 第1夜
http://youtu.be/_frPxx4YpXA

日本人初の国際宇宙ステーション船長に就任した若田光一、NASA宇宙環境模擬訓練で船長に任命された星出彰彦。国際的な現場でリーダーを経験した2人の宇宙飛行士による、オトナのための特別対談が実現。


○ 「志」〜日本の有人宇宙活動をたどる、285秒のものがたり〜
http://youtu.be/RLufi0OszIc

かつて有人宇宙開発で各国に後れをとっていた日本にとって、国際宇宙ステーション計画への参加は途方もなく大きな夢への挑戦でした。それから二十余年、日本は着実に歩みを進め、現在では有人宇宙活動に不可欠な存在と言われるまでに成長。そして、きぼうのその先にある、未来への挑戦が新たに始まっています。


○ 【ダイジェスト】若田宇宙飛行士 ISS長期滞在ミッション報告会 〜「聞く」 「任せる」「実践する」若田船長の仕事術〜
http://youtu.be/LXwPHt967Ks

平成26年8月22日、浅草公会堂にて開催した若田宇宙飛行士国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッション報告会のダイジェストです。


○ 若田宇宙飛行士 ISS長期滞在ミッション報告会 〜「聞く」「任せる」「実践する」若田船長の仕事術〜(Part2:若田飛行士×阿川佐和子 特別対談)
http://youtu.be/n0duG52KSss

トークセッション第一部では、作家・エッセイストの阿川佐和子氏と若田宇宙飛行士の対談を行いました。阿川氏から次々と飛び出す率直な質問に若田宇宙飛行士は笑顔で答えました。


○ 若田宇宙飛行士 ISS長期滞在ミッション報告会 〜「聞く」 「任せる」「実践する」若田船長の仕事術〜(Part3:若田飛行士×阿川佐和子×佐々木則夫 トークセッション)
http://youtu.be/3PlAFu7tMY0

トークセッション第二部は、阿川佐和子氏が司会を務め、若田宇宙飛行士となでしこジャパン(サッカー日本女子代表)監督の佐々木則夫氏が、それぞれの立場でリーダシップをテーマに語りました。

○ “御茶ノ水で宇宙を語ろう”「JAXAタウンミーティング」in 御茶ノ水
http://youtu.be/ZRTVTLk5fHI

JAXA東京事務所を会場に、JAXAが取り組んでいる人工衛星による地球観測データの様々な利用について話題を提供し、ご参加の皆様からJAXA事業へのご意見や、新しく宇宙を利用したり、連携をしていくような提案をいただきました。また、会場の様子をインターネットでライブ中継しました。

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★ デジタルアーカイブのオススメ
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国際宇宙ステーション(ISS)第44次/第45次長期滞在クルーに任命されている油井亀美也宇宙飛行士。来年6月頃から約6ヶ月間ISSに滞在する予定です。デジタルアーカイブスでは、筑波宇宙センターやロシアでの訓練、11月に飛び立った41Sクルーのバックアップとして試験に参加する様子をご覧いただけます。

△ (動画)宇宙飛行士 > 油井亀美也
http://jda.jaxa.jp/category_v.php?lang=j&page=&category1=224&category2=251&page_pics=50

△ (静止画)宇宙飛行士 > 油井亀美也
http://jda.jaxa.jp/category_p.php?lang=j&page=&category1=224&category2=251&category3=&page_pics=50

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// 編集長のつぶやき //
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今年最後のメルマガ発行となります。振り返ると、今年は若田宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在や多数の宇宙機の打ち上げがありました。皆様どんなことが印象に残っているでしょうか。
さて、日没後・日の出前に人工天体(ISSや人工衛星、ロケットの残骸など)が光りながら空を横切ることがあるのですが、今年末は12月27日と前後の数日、ISSなどが各地で見られるようです。年末は、ゆっくり夕闇の空を見上げて、星だけでなく人工天体を見てみませんか?

1年間ご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。(編集長machiko)

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◎ 次号236号は、1月20日(火)の発行予定です。お楽しみに!(1月5日は休刊です)
◎ 受信アドレス変更・登録解除 > http://fanfun.jaxa.jp/media/mail/index.html
◎ ご意見・ご要望 > https://ssl.tksc.jaxa.jp/space/inquiries/index_j.html
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◇ 発行:JAXA(宇宙航空研究開発機構)広報部 > http://www.jaxa.jp/
◇ (C) 2004 Japan Aerospace Exploration Agency
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