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★☆★JAXAメールマガジン 第223号★☆★          + 発行:2014.6.20 +
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=目次=

★ JAXAトピックスフラッシュ
  「だいち2号」、打ち上げからまもなく1ヶ月! / JAXA's 最新056号発行

★ 宙川柳(そらせんりゅう)
  第9回結果発表!

★ JAXAイベントガイド
  日本学術会議公開シンポジウム / 宇宙の日作文・絵画コンテスト / 若田宇宙飛行士ミッション報告会開催地の公募 / 他

★ 夢を飛ばす人々・メルマガ版 〜航空研究者が綴るコラム〜
  再突入機のエネルギーはどこに行った? − 熱の捨て方 −

★ 宇宙つれづれ
  ぼんやりとした目で

★ JAXAイチオシサイト
  宇宙のことをもっと知りたい! 女優 南沢奈央 / 若田宇宙飛行士長期滞在総括 / JAXA宇宙飛行士活動レポート2014年5月 / イチオシ動画

★ デジタルアーカイブのオススメ
  若田宇宙飛行士

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★ JAXAトピックス フラッシュ
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◆「だいち2号」、打ち上げからまもなく1ヶ月!

打ち上げからまもなく1ヶ月を迎える「だいち2号」。
「だいち2号」特設サイトでは、宇宙にいる「だいち2号」が、地球観測衛星として世界最高速度で地上伝送に成功したトピックスなど、随時更新中です!
応援メッセージ、手づくり「だいち2号」応募キャンペーンも絶賛募集中です。
なお、手づくり作品の募集期間は本日、6月20日(金)まででしたが、好評につき今月いっぱいの30日(月)12:00まで延長が決まりました。作ろうかどうか迷っていたそこのあなた、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


△ 「だいち2号」、地球観測衛星として世界最高速度で地上伝送に成功!
http://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/2545.html

△ 手作りの「だいち2号」募集(今までいただいた応募作品集もこちらから)
https://ssl.tksc.jaxa.jp/space/cgi-bin/daichi2_craft/mail.html

△ 打ち上げ写真集(プロジェクト賞決定!)
http://space.jaxa.jp/countdown/f24/

△ 特設サイト
http://fanfun.jaxa.jp/countdown/daichi2/index.html

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◆JAXA's 最新056号発行

JAXAのプロジェクトや研究に関する最新情報・特集、宇宙・航空に関わる日本各地のエンジニアたちの活躍レポート、美しく見ごたえのある画像を大きく載せたビジュアルページなどもりだくさんの内容でお送りしている機関誌「JAXA's」。
最新056号のおすすめ記事は、「だいち2号」特設サイトと連動した「打ち上げ写真集」です! ぜひご覧下さい!
なお、JAXA'sは「 JAXA's +(ジャクサスプラス)」のウェブページで、閲覧、印刷用データの取得、配送のお手続きが可能です。
また、紙面の都合で掲載しきれなかったインタビュー記事の全文やこぼれ話などが読める、「蔵出しジャクサス」のコーナーもあります。今回は大西宇宙飛行士へのインタビューを掲載。あわせてお楽しみください!

△ JAXA's +(ジャクサスプラス)
http://fanfun.jaxa.jp/media/jaxas/

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◎ トピックス満載! ファン!ファン!JAXA! はこちら!
http://fanfun.jaxa.jp/topics/

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★宇宙航空にまつわる川柳「宙川柳」(そらせんりゅう)
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◆第9回結果発表!

第9回の宙川柳のお題は、大規模な災害が発生した時に宇宙から観測した被災地の情報を迅速に提供し、国や自治体における災害対策に役立てることを目的に開発された「だいち2号」の打ち上げにちなんで「大地」にしましたが、打ち上げ直前だったこともあってか、合計332句もの投稿をいただきました。

ご応募いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

「大地」という言葉を様々な視点で捉えた川柳らしいおかしみにあふれた投稿が相次ぎましたが、編集部では熟考の結果、以下の10作品を選定いたしました。
なお、今回は特別賞として「だいち2号」プロジェクトチーム賞もあわせて選定しています。

・大地の目 異変ないかと 寝ずの番(昭爺さん)
#昼夜や天候を問わず観測できるのが「だいち2号」。“寝ずの番”にセンスが光ります。

・大地診る PALSAR-2が 聴診器(なおくんさん)
#跳ね返ってきた電波を捉えて観測するPALSAR-2。聴診器になぞらえるとはさすが!

・衛星が 布団の地図も 解析し(よったんぼうやさん)
#よったんぼうやさんはいつもひねりがきいてますね。こどもの頃の選者ならドキリ(汗)

・宙の旅 大地を飛んで 夢抱き(岩窟王さん)
#宇宙からでしか見られない様々な地球の表情に胸躍る瞬間がありそうです。

・だいち2号 私はここよと 大の字に(みんみんさん)
#本当に「だいち2号」に写ってしまおう、という試みもあるそうですよ!

・広げよう 豊かな大地 宇宙にも(むこうさん)
#地球観測という枠にとらわれない発想が光ります。新たな大地へ出発?!

・忠敬の 四千万歩が 一瞬に(アストロボーイさん)
#「だいち」のデータは地図作成に活用されています。伊能忠敬も感激ですね。

・ぼくだいち ぼくのおとうと そらにいく(だいちくん) 
#「だいち」という名前のお子さんの夢をのせて頑張れ「だいち2号」


☆「だいち2号」プロジェクトチーム賞

・「だ」いじょうぶ 「い」ちばんいい目で 「ち」きゅう見る(宙仙人さん)

「だいち2号」に搭載されている高性能な観測装置は世界唯一のもので地表の動きを見守り続けます。そんな「だいち2号」の性能が説明されているだけでなく、頭文字をつなげると「だ、い、ち」になり、よくできていますね。


☆ ソラセン大賞

・宇宙にも 街にも一人 いる大地(Aitaさん)

ソラには「だいち(運用は終了しましたが地球を周回しています)」「だいち2号」、街には「だいち」。たのもしさを感じる一句です。
特設サイトにも「初号機から息子の名前をとりました」というコメントがありました。どの「だいち」もがんばれ〜! (編集長 machiko)

◎第10回のお題は、次々号(第225号)で発表します。どうぞお楽しみに!

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★ JAXAイベントガイド
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☆ 一般向けのイベント・募集

◆日本学術会議公開シンポジウム

研究開発と利用応用間を橋渡し、バランスをはかることは、航空宇宙や船舶海洋分野をはじめ、例えば、天文台、原子力、加速器など様々なビッグサイエンスの領域において共通する課題です。特に航空宇宙および船舶海洋分野においては、研究開発と利用応用間の橋渡しとバランスへの取り組み方が議論されるべきキーポイントとなっています。
本シンポジウムでは、この観点について、関連分野を代表する講演者の方々をお迎えし、ご意見を発表いただきます。

  開催期間:6月27日(金)9:30〜17:30 開場9:00(予定)
  会場:日本学術会議 講堂(東京都港区)

△ 詳細はこちら(JAXAシニアフェロー室)
http://www.jaxa-sf.jp/

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◆あなたの「願い」宇宙に届けます!

7月7日の七夕の日に超高速インターネット衛星「きずな」にあなたの願いを届けてみませんか? 衛星「きずな」を使った七夕メールキャンペーン実施中です。

  募集期間:募集中〜6月30日(月)24:00まで

△ 応募・イベント詳細はこちら(七夕お願い特設サイト[株式会社栗山米菓])
http://www.befco.jp/onegai/

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◆夏の施設特別公開、日程が決まりました!

○種子島宇宙センター

去年度は見送りましたが、今年は開催します! スペシャルバスツアーや星出宇宙飛行士講演、ほか様々なイベントをご用意してお待ちしています。

  日時:7月6日(日)10:00〜15:30
  詳細:http://fanfun.jaxa.jp/event/detail/2303.html

○相模原キャンパス

JAXA相模原キャンパスの特別公開を、今年は7月25日(金)・26日(土)の2日間にわたって開催します。通常の見学では見ることができない施設の公開や、最新の研究内容をわかりやすく紹介します。

  日時:7月25日(金)、26日(土)10:00〜16:30(両日共)
  詳細:http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/event/2014/0725_open/index.shtml

いずれのイベントも最新情報が決まり次第、それぞれのページで更新していきます。
どうぞお楽しみに!

△ 施設の場所などの詳細はこちら(施設見学)
http://fanfun.jaxa.jp/visit/

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◆筑波宇宙センター プラネットキューブ企画展「Go to Space」

大きな音を響かせて宇宙へ向かうロケット。そこには数えきれないほどの人々の想いが、そして新たな挑戦が、ぎっしりとつまっています。
企画展では、日本や世界のロケット開発の歴史、ロケットのしくみ、打ち上げの模様などをパネルや動画でご紹介します。

  開催期間:7月1日(火)〜9月7日(日)10:00〜17:00
  場所:筑波宇宙センター プラネットキューブ(茨城県つくば市)

△ 施設の場所などの詳細はこちら(施設見学)
http://fanfun.jaxa.jp/visit/tsukuba/

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◆星新一賞

生涯で1000以上もの作品を生みだした星新一。その中には、理系的な発想力によってつくられた物語が数多くあります。「理系文学」ともいえるそれらの作品は、文学としての価値のみならず、現実の科学をも強烈に刺激してきました。すぐれた発想は、いまもまだ読み手の心をくすぐり、次なる発想を生みだしているのです。
今、日本に必要なのはこの圧倒的想像力。我々は「理系文学」を土俵に、アイデアとその先にある物語を競う賞、日経「星新一賞」を開催します。

  募集期間:募集中〜9月30日(火)24:00

△ 詳しい募集要項はこちら(第2回 日経「星新一賞」公式ウェブサイト)
http://hoshiaward.nikkei.co.jp/index.html

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◆ミッション[宇宙×芸術]−コスモロジーを超えて

アートインスタレーション、人工衛星やロケットの部品(フェアリング)などの宇宙領域資料、宇宙にかかわる文学、マンガやアニメーションなどエンターテインメント領域、参加体験型作品の展示やトーク&イベントを通じて新たな可能性を探り、「拡張/集束する世界をとらえ、描写する」試みです。かつてのような異世界や理想郷としてだけでなく、本当の意味で「日常」となる私たちの「宇宙」について体験し、考えてみましょう。

  開催期間:開催中〜8月31日(日)
  会場:東京都現代美術館

△ 詳しい情報はこちら(東京都現代美術館)
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/cosmology.html

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☆ 学生・青少年向けのイベント・募集

◆宇宙の日作文・絵画コンテスト

JAXAでは文部科学省、国立天文台などと共同で毎年「宇宙の日(9月12日)」を記念した小中学生対象の作文・絵画コンテストを開催しています。
今年のテーマは、小惑星探査機「はやぶさ2」打ち上げが近づいていることにちなんで「宇宙たんけん」となりました。「はやぶさ2」を含めこれまでに数々の探査機が打ち上げられており、その観測結果により地球の起源や宇宙の歴史の謎が少しずつ明らかになっています。宇宙にはどんな星があるんだろう? 私達が住む地球はどこから来たんだろう? 誰もが抱く素朴な疑問を想像の糧にして、自由な発想で素敵な作文や絵画の作品をお待ちしています。

  募集期間:募集中〜7月31日(木)最寄りの科学館に必着

△ 詳しい募集要項はこちら(宇宙の日ホームページ 26年度応募方法)
http://www.jsforum.or.jp/event/spaceday/oubo.html

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☆ 企業・自治体・専門家向けのイベント・募集

◆若田宇宙飛行士ミッション報告会開催地の公募

国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在活動を行い、第39次長期滞在では日本人初! のISS船長を務めた若田光一宇宙飛行士のミッション報告会を開催いただける共催団体を募集いたします。
今回、若田飛行士が直接みなさまの街にお伺いし、長期滞在の活動報告を行うとともに、地域の皆さまと若田飛行士がふれ合い、素朴な質問コーナーなど宇宙を身近に感じることができる機会を設定したします。この報告会の開催地募集を行いますので、報告会の企画を提案ください。皆さまのご応募をお待ちしております。

  応募締切:6月25日(水)17:00まで
  ※以下のサイトよりフォームで応募ください。

△ 応募要項(応募フォーム)はこちら
http://www.jsforum.or.jp/science-event/wakata_houkokukai/

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◆第3回再使用将来輸送系ワークショップ

オールジャパン体制の構築に向けて、再使用将来輸送系に関心を持つ研究者・技術者が一堂に集まる場を設け、研究の方向性、研究の推進体制や具体的な活動について議論し共有を図ることを目的としてワークショップを開催します。
今回の第3回ワークショップでは、JAXA内で議論している全社的な取り組みの状況及び1月に開催致しました第2回の成果を受けて検討を進めているリファレンスシステムの検討状況、並びに共同研究の成果と今後の計画等について報告と討論を行う予定です。

  開催日時:6月26日(木)13:30(予定)〜18:00(その後、懇親会を予定)
  会場:ソラシティカンファレンスセンター2F ソラシティホール(東京都千代田区)
△ 詳しくはこちら(宇宙輸送ミッション本部)
http://www.rocket.jaxa.jp/news/event/2014/140603.html

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◆第46回流体力学講演会/第32回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム

今回で46回目となる流体力学講演会(FDC)と32回目となる航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム(ANSS)を合同開催するものです。本シンポジウムは、流体力学及び数値シミュレーション技術の分野における研究の発展に寄与することを目的としています。

  開催日時:7月3日(木)、7月4日(金)
  会場:弘前文化センター(青森県弘前市)

△ 詳しくはこちら(航空本部)
http://www.aero.jaxa.jp/publication/event/event140703.html

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◆JAXAタウンミーティングの共催団体を募集中

JAXAでは、JAXAタウンミーティングを開催していただく共催団体を募集しています。テーマは、宇宙航空開発に関する内容。JAXAと共催団体とが協議して決定させていただきます。登壇者に関わる経費はJAXAが負担しますが、会場の手配、参加者の募集、周知等にかかる経費、事務については共催団体様の担当となります。開催場所、日程は共催団体様からの提案をもとに、登壇者のスケジュール等を調整しながら決定します。開催に興味をお持ちの方は、パンフレット・募集要項をご確認のうえ応募していただきますようお願いいたします。

△ JAXAタウンミーティング
http://fanfun.jaxa.jp/event/townmeeting/index.html

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△ 子どもから大人まで楽しいイベント情報のご案内
http://fanfun.jaxa.jp/event/

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★ 夢を飛ばす人々・メルマガ版 〜航空研究者が綴るコラム〜
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◆再突入機のエネルギーはどこに行った? − 熱の捨て方 −

はじめまして、白水(しろうず)正男です。旧航空宇宙技術研究所に入ってから、最初の頃は衝撃波など高速空気力学の基礎的な研究、そのうちスペースプレーンの概念研究などを始め、さらにはHYFLEX(極超音速飛行実験)やHOPE-X(宇宙往還技術試験機)などのプロジェクトもやっていました。このように、航空本部では宇宙に関係する研究開発も行っています。HOPE-Xが目指した航空と宇宙をつなぐ再使用型の宇宙機を実現するための技術課題のひとつは、宇宙から地上に戻ってくるときの熱の問題です。

動いている物体を止めるためのブレーキは、摩擦を利用して運動エネルギーを熱エネルギーに換えているということはご存知だと思います。自動車はブレーキを使って運動エネルギーを熱に換えます(ハイブリッド車ではちょっと事情が違いますが)。宇宙機も同じように大気との摩擦で熱に換え、それが機内に入ってくるのを断熱材で防いでいるんだ、とお考えかもしれません。それが間違っているわけではありませんが、自動車と宇宙機ではかなり状況が異なります。今回はそのお話です。
時速100kmで走っている乗用車を静止させる際に、その運動エネルギーの全てが熱としてブレーキディスクに吸収されたとすると、ブレーキディスクの温度は60℃くらい上昇する計算になります。運動エネルギーは速度の二乗に比例するので、高速のレーシングカーのブレーキディスクが高温になって真っ赤に光っている写真を見たことがある方もいるかもしれません。いずれにせよ、ある部品に熱を吸収させるという意味では共通です。では、それよりもずっと速い宇宙機が地球に戻ってくる場合を考えてみましょう。



まず、宇宙機が地球を周回しているときの運動エネルギーを計算してみます。計算は省略しますが、1kg当たり約3300万ジュール(3.3×107J/kg)になります。これが非常に大きなものであることを実感してもらうために、周回しているものがアルミニウムの塊だとして、持っている運動エネルギーが全部熱に換わった場合を考えると、その温度は3万6000℃くらい上昇する計算になります。そのような温度になる前にアルミニウムは660℃で融けてしまいますから、自動車のブレーキのように熱エネルギーを吸収するという考え方では、宇宙機は再突入を始めたとたんに機体全体が摩擦熱で融けてしまうことになります。このエネルギーがどこに行くのかをみるために、このエネルギー全体の大きさを“100”として行き先を調べてみます。

宇宙機が大気圏内で減速するときの摩擦の大部分は、空気が圧縮されて高温になる現象です。空気の温度は1万℃を超えることもあります。“100”のうち“99”くらいが、飛行経路に沿った空気を高温にすることに使われます。正確には、減速によるエネルギーは空気を圧縮して高温にすることに使われ、そのうち1%程度だけが空力加熱という形で高温空気から機体に流れ込み、残りはそのまま空気に残されます。自動車に例えていえば、摩擦熱の大部分をブレーキディスクではなく道路に残しているようなものです。流れ星の軌跡が光って見えるのは、こうして高温になった空気が光っているからです。
機体に入ってきたエネルギーは全体の1/100であっても、機体表面は1000℃を超える高温になります。熱くなった物体は赤外線ヒーターのように赤外線を放射します。赤外線の強さは絶対温度の4乗に比例しますから、高温になれば赤外線は非常に強くなります。空力加熱が続いても、そのうちの6〜7割はこうやって赤外線として機外に捨てることができます。スペースシャトルオービタの下面が黒いのは、赤外線の形で排出するエネルギーを多くするためです。こうして残った“0.3”程度が機体の内部に向かって入っていきます。全体のわずか0.3%でも元のエネルギーが大きいので、全体がアルミニウムだとしてその温度を3万6000×0.3/100=110℃くらい上昇させることができるだけのエネルギーです。これでも、中に乗っている人や機器などは耐えることができません。
機体表面に貼ってある断熱材は、熱を遮断するものではなく、機体内部に向かって熱が伝わるのを遅らせるものと考えることができます。空力加熱が激しい時間帯を通り抜けた宇宙機の表面は非常に熱くなっていますが、断熱材のおかげで、熱の大部分はまだ断熱材の中間の深さまでしか侵入していません。このとき、宇宙機の速度は低下しているので機体周りの空気の温度はもう高くなく、熱くなった断熱材を空冷してくれます。赤外線という形で熱を捨てる効果もまだ続いています。
こうやってだんだん地上に近づき、滑走路に着陸したときに機体に残っている熱エネルギーは“0.1〜0.2”程度です(それもほとんどが機体表面の断熱材の中にあります)。この熱は、滑走路上に静止したあとも、断熱材からじわじわと機体の内側に入り続けます(外側にも逃げますが)。このため、放っておけば、機内の温度は飛行中より着陸したあとの方が高くなって、構造や搭載機器にダメージを与えてしまう恐れがあります。それを防ぐために、着陸した宇宙機に空気を送り込んで冷やすようなことも必要になってきます。

再突入飛行の熱から機体を護るということは、単に断定材で覆って熱を防げばいいという単純なものではありません。再突入飛行中に入ってくる熱を少なくし、それをうまく機外に排出し、着陸したあともダメージを受けないような工夫がされてはじめて宇宙機や乗っている乗員は護られます。熱がどのくらい入ってきて、どう排出され、機体内部にどう伝わっていくかを予測することを熱解析といいます。熱解析を使って、どのような断熱材をどこにどれくらい使えばいいかを考えていくことが熱設計です。熱解析と熱設計は、宇宙から帰ってくる輸送機にとって重要な技術のひとつです。


△ 航空本部
http://www.aero.jaxa.jp/

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★ 宇宙つれづれ
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◆ぼんやりとした目で

身を乗り出し目を凝らしてモノを見るより、薄目でぼんやりと全体を眺めたほうが、より物事の本質に迫れることもある、というお話しです。

衛星や探査機の運用で「姿勢」はもっとも基本的な情報の一つです。観測装置を対象天体に向けるにも、地球と交信するためアンテナを向けるにも、速度を変えるのにエンジンを噴射する場合も、自機の姿勢が分かっていなければ何も始められません。その任に当たるのが「スターセンサ」です。カメラで同時に3つ以上の恒星を視野に収め、それぞれの離角を計測。あらかじめ持っている恒星マップと照合することで、自分が天球上のどの方向を向いているかを知るという原理です。

以前、スターセンサ開発経験のあるエンジニアに聞いてびっくりしたことがありました。カメラに使われている撮像素子の「画素数」が極端に少ないのです。たしか数百のケタでした。スマホのカメラでも数百万画素を軽く超えていますから、とても意外に感じました。そんなに画素が粗くていいのでしょうか?
「それだと恒星の離角を正確に測れないのでは? 受信感度が悪いときのワンセグTVのような、ブロックの大きなモザイクぼかし画像みたいなものではないですか?」
と聞いてみたところ、いい質問ですねぇ、とばかりに解説してくれました。おおむね以下のような内容でした。

1)画素数が少ないので、撮像面(CCD上)に恒星のシャープな像を映したとしても、正確さには限界がある。
2)障子に穴を開けたとき、どのマス目に穴が開いているかはわかっても、そのマス目のどの位置に穴が開いているかまではわからない、というようなこと。
3)マス目の粗さのレベルまでしか計測できないのは、デジタルでデータ処理するからには逃れられない限界だ。
4)そこで、わざと光学系のフォーカスをずらし(デフォーカスさせ)、撮像面にピンぼけの星像を映すようにする。
5)星像がぼやけることで、複数の画素に恒星の光が入ることになる。
6)たくさん光が入る/少ししか光が入らない画素それぞれに、明るさで重みをつけて計算すると、ぼやけた星像の重心位置を精度よく求めることができる。これで画素数の制約をはるかに超える角度分解能となる。

対象は恒星、つまり点像なので、解像度(画像としてのシャープさ)は無視し、積極的に像をぼかすことでより正確に位置がつかめる、ということでした。
ダマされたような気分ですが、うまい方法ですよね。

いっぽう、恒星に向けていたカメラを地上に、恒星マップのかわりに衛星画像を使ってみると、どうなるでしょう?
地球観測用の大きな衛星ですと、厳密な姿勢制御やキャリブレーションを経てはじめて、地上のどの場所を撮ったものが確定でき、画像が「使えるもの」になるわけですが、すでにそうした「正確な位置情報付き衛星マップ画像」という資産は世の中に存在します。ですので、撮られたばかりの生画像でも、コンピュータ処理でマッチングさせると、それがどの場所かがすぐに分かるようになるのではないでしょうか。だいたいの位置と姿勢は分かっているわけですから、検索対象の範囲はそこそこ絞り込めます。そしてマッチングの結果、「今どこを撮っているか」がわかれば、それはすなわち「正確な姿勢」となりますから、そこを出発点にすればデータの正確さをより高めることができます。もちろん参照すべき地図データは非常に膨大なものになるので、いわゆる「ビッグデータの活用」の一手法ということになるかもしれませんが、何か可能性がありそうな気もします。(とっくにそんな検討はしてるよ、という方、ゴメンなさい)

今朝早く、東京大学の「ほどよし3号・4号」がロシアのロケットで打ち上げられ、1stAOS(最初の電波交信)も、ほどなく無事に終えたそうです。ネーミングこそほんわかしていますが、やっていることはアグレッシブだと思います。先ごろGoogleの出資を得て話題になったSkyboxも、東大などと同様CubeSatで経験を積んだエンジニアが関わっているそうです。「なるほど!」と膝を打つようなアイデアと新たなチャレンジ、一宇宙ファンとしても楽しみにしています。(MK)

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★ JAXAイチオシサイト
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◆宇宙のことをもっと知りたい! 女優 南沢奈央

南沢奈央さんは、女優としてだけでなく、NHKの科学番組『サイエンスZERO』のナビゲーターとしても活躍しています。子どもの頃は理科が苦手で、宇宙は遠い世界のことだと思っていた南沢さん。JAXAや宇宙に対してどのようなイメージを持っているのか、お話を伺いました。

△ 宇宙のことをもっと知りたい! 女優 南沢奈央(ファン!ファン!JAXA!)
http://fanfun.jaxa.jp/feature/detail/2536.html

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◆若田宇宙飛行士長期滞在総括

若田宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)第38次/第39次長期滞在クルーとして、日本時間2013年11月7日から2014年5月14日までISSに約188日間滞在しました。若田宇宙飛行士のミッションを振り返り、その活動をまとめた総括ページを公開しました。


△ 若田宇宙飛行士長期滞在総括(有人宇宙ミッション本部)
http://iss.jaxa.jp/iss/jaxa_exp/wakata/iss2_result/

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◆JAXA宇宙飛行士活動レポート2014年5月

JAXA宇宙飛行士が2014年5月に行った以下の活動についてご紹介します。

  ○若田宇宙飛行士、ISS長期滞在ミッションを終えて帰還
  ○油井宇宙飛行士、ドイツとロシアでISS長期滞在に向けた訓練を実施
  ○大西宇宙飛行士、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)でISS長期滞在に向けた訓練を実施

△ 宇宙飛行士活動レポートはこちら
http://iss.jaxa.jp/astro/report/2014/1405.html

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◆イチオシ動画

○(続)週刊若田「若田宇宙飛行士のISSツアー 前編」
http://youtu.be/J3bitV6Ml7Q

「きぼう」日本実験棟(船内実験室、船外実験プラットフォーム、船内保管室、各種実験ラック)、「コロンバス」欧州実験棟、「ハーモニー」第2結合部を、若田宇宙飛行士が詳しく解説! 全3編構成の前編です。


○JAXAシーズンレポート
http://fanfun.jaxa.jp/gallery/cat8/

JAXAシーズンレポートは、四半期ごとのJAXAの活動をご紹介する動画です。今回、過去に掲載していたものを一挙JAXA TV(YouTube JAXA Channel)に登録いたしました。ちょっと懐かしい出来事をご覧いただけますと幸いです。

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★ デジタルアーカイブのオススメ
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今回は、5月14日(水)に無事地球へ帰還した、若田宇宙飛行士をご案内いたします。JAXA'sの表紙を飾った帰還シーンはもちろん、帰還セレモニーなどの写真や、滞在中に行った実験の動画など、どしどし登録中です。ぜひご覧ください!

△ 有人宇宙開発 > 国際宇宙ステーション長期滞在 > 第39次長期滞在 =画像一覧=
http://jda.jaxa.jp/category_p.php?lang=j&page=&category1=224&category2=235&category3=436&page_pics=50

△ 有人宇宙開発 > 国際宇宙ステーション長期滞在 > 第39次長期滞在 =映像一覧=
http://jda.jaxa.jp/category_v.php?lang=j&page=&category1=224&category2=235&category3=436&page_pics=50

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// 編集長のつぶやき //
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こんにちは!
サッカーW杯が盛り上がりを見せていますね。NASAが17日(日本時間18日)、国際宇宙ステーションで宇宙飛行士がサッカーW杯を観戦する様子を撮影した写真を発表しました。忙しい任務の合間に、アメリカ・ドイツ各国出身の飛行士が肩を並べて楽しんだそうです。
さて今朝は日本vsギリシャ戦に注目があつまっていましたが、メルマガ編集スタッフは朝定時に出勤できたのか!? ご想像にお任せします〜。(編集長machiko)

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◎ 次号224号は、7月7日(月)の発行予定です。お楽しみに!
◎ 受信アドレス変更・登録解除 > http://fanfun.jaxa.jp/media/mail/index.html
◎ ご意見・ご要望 > https://ssl.tksc.jaxa.jp/space/inquiries/index_j.html
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◇ 発行:JAXA(宇宙航空研究開発機構)広報部 > http://www.jaxa.jp/
◇ (C) 2004 Japan Aerospace Exploration Agency
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